2022 Fiscal Year Annual Research Report
マクロ孔内自己充填による欠陥フリー・ナノ多孔質セラミックスの創製と有機物膜分離
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20H02431
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 義和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40357281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 達 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (50267407)
阿部 浩也 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (50346136)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多孔体 / スピネル / 水熱合成法 / ポリエチレンオキシド / 限外ろ過 / 除去率 / アルミナ / フィルター |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 我々のグループでは、水熱合成法とポストアニール処理で作製したCo3O4結晶が特異なナノ八面体からなる菱面体状の集合体を形成することを見出しており、このような集合体をAl2O3支持体上に無欠陥で析出させることができれば、限外ろ過膜に使えるのではないかと考えた. 耐食性や化学的安定性ではCo3O4スピネルはフィルター素材として適切な材料ではないものの、MgAl2O4と比べて湿式合成が容易であるため、検証のためのモデル材としては有効であると考えられる。CoCl2・6H2Oと尿素をモル比で2:15となるように、それぞれ0.714 g,1.351 g秤量し、蒸留水/エタノール混合溶液(蒸留水25 mL, エタノール5 mL)に溶解させ,溶解した水溶液中へAl2O3支持体を浸漬して、撹拌しながら水熱処理を160℃, 0.5-6 h行った。支持体にCo3O4を攪拌水熱法で担持した膜での除去率は最大20%であった。 (2) 限外ろ過およびナノろ過は、ポリマーとタンパク質の分離に利用されている。 本研究では、エアロゾルデポジション(AD)法で作製したMgAl2O4膜の高分子分離への応用を検討した。 多孔質Al2O3支持層上のMgAl2O4限外ろ過膜は、完全に緻密な膜ではなく、意図的にナノサイズの細孔を残して製造された。 水から分子量100 万のポリエチレンオキシド (PEO) を除去することによってろ過性能を調べたところ、PEOに対するAD MgAl2O4/支持層 Al2O3 の除去率は、44% であった。 これは、Al2O3 に MgAl2O4 をディップコーティングすることで得られた~14%の除去率よりもかなり高いものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度途中で交通事故被害による4か月の研究中断があったものの、当初計画の水溶性高分子の分離・濃縮については一定の成果が出ている。攪拌水熱法については、最適化には至っていないが、試料の片面に優先的にコーティングが実現されており、当初計画の模式図に近い微細構造を得ることに成功した。エアロゾルデポジション法については、まだまだ面積は小さいものの、高性能のフィルターを作製することができている。 K. Kagami, Y. Matsubayashi, T. Goto, J. Akedo and Y. Suzuki, "Nanoporous MgAl2O4 coating on porous Al2O3 support by aerosol deposition method for organic polymer filtration membrane," J. Ceram. Soc. Jpn., 130 [4] 320-323 (2022).
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Strategy for Future Research Activity |
産業界からのニーズが高い、オールアルミナ多孔質セラミックスで、これまでと同等以上の性能をもつ限外ろ過フィルターを作製し、タンパク質分離に挑戦する。また、努力目標としては、第一原理計算を細孔構造の評価に取り入れることを検討する。
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