2020 Fiscal Year Annual Research Report
希土類添加アモルファス酸化物半導体の探索とガラス基板上への直流駆動発光素子の形成
Project/Area Number |
20H02433
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井手 啓介 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (70752799)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アモルファス酸化物半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
アモルファスIn-Ga-Zn-O(a-IGZO, イグゾー)に代表されるアモルファス酸化物半導体(AOS)は、室温で作製しても欠陥の少なく、良い半導体特性を示すことが知られている。応募者は過去に、このAOSの低いプロセス温度を無機蛍光体の作製に応用することを提案し実証してきた。さらに、予期しなかった結果として、得られたAOS蛍光体が優れた電気特性を示すことも明らかになった。そこで、蛍光体でありながら良好なキャリア輸送特性をもつ本材料の稀有な特性を利用して、次のような研究に発展させる取り組みを行う。 1) AOS蛍光体の最適な組成を見出す。 2) 添加した希土類が与える電気特性や欠陥形成への影響を明らかにする。3) セラミックスのような無機酸化物でも低プロセス温度で直流駆動型発光ダイオードを作製出来ることを実証する。
2020年度はコロナ禍のため、まん延防止などの行動制限で思うように研究を進められなかったものの、重要な知見を蓄えることができた。AOS蛍光体の作製条件最適化や電気特性の調査、発光特性の評価を行った。とくに薄膜トランジスタのデバイス構造を使うことで、電界効果を利用した欠陥解析を行った。さらにデバイスシミュレータを併用することで、欠陥準位解析を実施した。特性の希土類元素を添加した場合だけ、トランジスタの出力特性に異常な電流値上昇が見られ、インパクトイオン化が示唆された。インパクトイオン化は発光ダイオードの発光メカニズムとも関係する可能性があるため、今後も慎重に検討する必要が生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定通り、蛍光体薄膜の作製に成功し、電気輸送特性を調査することが出来た。しかし輸送特性の調査において、重要な結果が得られたため、当初計画よりさらに慎重な検討を行う必要が生じた。そのため、本年度中にダイオードの試作を開始する予定だったが、翌年以降に繰り越すこととした。結果として、発光ダイオードを実現するために必要なデータを十分に取得することができ、すぐに試作にとりかかる準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで見出した薄膜の作製条件を使って、発光ダイオードの試作に取り掛かる。1)まずシリコン単結晶基板の上にデバイスを作製する。2)様々な電極を試しながら、ガラス基板上へのデバイス作製を行う。3)得られたデバイスについて、分光特性、電流電圧特性、発光効率、発光メカニズムの検討を行う予定である。
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Research Products
(4 results)