2020 Fiscal Year Annual Research Report
データ科学に基づく新しい組成・構造を有するセラミックス材料の探索
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20H02436
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
中山 将伸 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10401530)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | セラミックス / マテリアルズ・インフォマティクス / 新材料探索 / 組成記述子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、組成記述子のみによる合成可否判定の予測式開発を行った。合成可否判定には第一原理計算のデータ8万件を利用し、線形および非線形関数への機械学習回帰分析を、ヒストグラム形式で表記した組成記述子を用いて実施した。また、合成可否判定に用いた分解エネルギーは、0値をもつ偏りの大きいデータであったため、2値分類の機械学習アルゴリズムを用いた。当初は記述子に結晶構造データが欠けるため、予測能が大幅に低下すると考えられたが、実際には82%という高い分類精度(ROC曲線におけるAUCにおいて0.91)を示すことが分かった。また、機械学習の分類精度は、8万件のデータに対して用いるデータを増やすほど増加する傾向がみられたことから、性能は飽和しておらず、さらにデータを増やすことでより高精度分類につながる余地があることを確認した。 そこで研究内容を前倒しし、外挿空間への適用性についても調査した。人工的に特定組成のデータを抹消することで外挿では0.8以上、4元系では非常にスパースな空間(データが疎となる状態)となるが0.7以上のAUCの値が得られた。このことから、外挿空間においてもある程度有意に合成の可否判定が可能になるという結果が得られた。 以上より、本申請の目標であるデータベースに記述されていない材料の評価・探索は、組成式を指定することで達成可能になることが示された。また、今後データを増やすことで、さらなる性能向上も期待できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組成をヒストグラムにするという独自の手法による記述子を用いることで、組成のみのデータでも高い分類精度を示す分類器が作成できた。この結果は、2020年に同様のコンセプトで発表のあった論文での結果に比べて同等、あるいはそれ以上の結果を得ている。ただし、上述のように2020年度に実施した内容と同様のコンセプトの論文が出版されており、本研究のオリジナリティー要素は低下してしまった(現在、論文投稿中)。さらに計画を前倒しして外挿空間を人工的に作成し、システマティックな評価を行ったことにより、分類器の実使用上の性能を把握することができた。 以上から計画を前倒しして研究を展開することができた一方で、同様のコンセプトの研究成果が他組織から発表されるため、オリジナリティーを部分的に低下させてしまったことから、区分(2)を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
組成記述子を使った合成可否予測については、合成可否条件(分解エネルギー閾値)を複数導入し、安定相・準安定相・不安定相などの分類出力を検討する。さらに、フォノンの計算などを取り込み、温度・圧力環境下での分解エネルギー値も、組成を限定するなどして試験的に整備する。これにより有限温度・圧力における相安定性も評価可能になると考えられる。さらにイオン伝導性などの物性値についても組成記述子による評価検討が可能であるか検証し、本研究のコンセプトの有用性の範囲を明確化する。
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Research Products
(12 results)