2021 Fiscal Year Annual Research Report
データ科学に基づく新しい組成・構造を有するセラミックス材料の探索
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20H02436
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
中山 将伸 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10401530)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | セラミックス / マテリアルズ・インフォマティクス / 新材料探索 / 組成記述子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、前年度までに作成した組成記述子のみによる合成可否判定の予測式の作成スキームに加えて、バンドギャップやイオン伝導性などの物性値を評価する予測式の作成も行い、有意な予測精度を得ることに成功した。 また、独自のヒストグラム形式の組成記述子に対して、既存の汎用組成記述子による予測結果と比較検討も行い、ヒストグラム形式において、多くの場合で高い予測能を得ることを確認した。さらに、訓練データを作成したデータベースとは異なる計算データベースに対して、合成可否判定の有意な予測精度を確認し、汎用性の高い予測能を持つことが確認した。これらの補助的成果を加えて、査読付き国際ジャーナル論文として出版することができた。 さらに本年度は、申請で提案した材料地図の骨格となる組成および構造の次元圧縮スキームもを検討した。今回、オートエンコーダーを持ちることで、特性金属を含有する酸化物や硫化物、フッ化物に関する数百~数千件程度の組成記述子・構造記述子を高い再現性を保持しつつ1次元まで圧縮することに成功した。また、目標物性をオートエンコーダーの出力層に組み込むことで、所望の物性を最適化するために俯瞰的に眺めることができる材料地図の作製も可能であることが明らかとなった。 以上より、本申請の目標であるデータベースに記述されていない材料の評価・探索は、詳細の検討も完了し論文公開することができた。また、材料地図についても基本的骨格部分の構築まで完了することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請で掲げた二つの目標のうちの一つである、組成情報のみを用いた材料物性予測は、ヒストグラム記述子を用いることで高い精度かつ汎用性を有する予測が可能であることを確認した。また成果を論文としてまとめ出版することで、成果を社会に還元することができた。(ただし同様のコンセプトを持った論文が2020年に発表されているため、オリジナリティー要素が低下してしまった。) また、残る目標である材料地図作成については、オートエンコーダーを用いることで原理的に組成と物性情報を1次元情報に集約し、可視化できることを確認できた。以上から、計画は申請書に沿い、やや前倒し状況順調に進展することがで来ている。一方で、世界的に競合的な領域であるにもかかわらず、コンセプト検証した成果を論文発表までに至っていない状況であることから、区分(2)を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は主として材料地図のコンセプトを完成させ、材料探索に有用なツールとしての成果を得ることにあるが、圧縮した1次元情報の意味的内容が、深層学習手法を用いているため容易には理解できない点に課題がある。次年度は既知物質の材料地図上における分布から、直感的な解釈が可能かを検討する。また、指定した地点のデコード処理も完全とは言えない状況であるが、組成式の復元については原理的に可能であることから、その点を重点的に取り組む予定である。 組成式から予測については、転移学習・能動学習などのスキームを用いて、データベースの発展に合わせて予測能を改善するなどの機能を検討する。
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Research Products
(12 results)