2020 Fiscal Year Annual Research Report
X線マイクロCTによる革新的生体イメージングに向けた無機系造影剤の開発
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20H02442
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
徳留 靖明 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50613296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小幡 亜希子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40402656)
米山 明男 公益財団法人佐賀県地域産業支援センター(産業振興部研究開発振興課、九州シンクロトロン光研究センター), ビームライングループ, 主任研究員 (70416981)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | X線マイクロCT / コロイド分散液 / 層状複水酸化物 / ゾルーゲル材料 / 造影剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
X-ray micro computed tomography (X線マイクロCT)は非破壊で物体の3次元画像を得るための技術の一つである。本研究では、セラミックスナノ粒子濃厚分散液をベースとして均一にゲル化可能な無機系血管造影剤を開発することおよびそれを用いた新規X線マイクロCTイメージング手法を開拓することを目的としている。本年度、徳留(研究代表者)は高濃度に分散したナノ層状複水酸化物(LDH)粒子を含有したゾル-ゲル反応系の構築を目的として、材料の構造特性やゲル化過程の描像を基礎科学的な視点から明らかにした。具体的には、LDHナノ粒子がナノフィラーおよびナノ触媒として働き、ゾルーゲル反応を誘起していることを突き止めた。結果として、均一に固化するゲル化性固体を再現性良く得ることのできる組成域およびその合成条件(温度、溶媒等)を見出した。小幡(研究分担者)は、ゲル化性試料の粘弾性測定やLDH粒子の細胞為害性評価をおこない、生体適合性の観点から本材料系を整理することに成功した。特に、特定の官能基で表面金属イオンをキャップした粒子修飾を施すことで、本研究で取り扱うナノ粒子の細胞為害性が制御可能であることを見出した。また、米山(研究分担者)は九州シンクロトロン光研究センター(佐賀Light Source)のX線マイクロCT用ビームラインの改良をおこない、高感度高速イメージングの実現に向けた検討をおこなった。結果として、従来よりも短時間で単色マイクロCT撮影が可能なセットアップを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個々の研究機関においては想定通りの研究の進捗が図られている。一方で、研究者間の物理的な相互連携は新型コロナウイルス感染症の影響で制限されているため、想定通りに進行しない実験計画もあった。このため、一部の出張を伴う実験は縮小するとともに形を変えて各機関において実施した。共同研究のアクティビティーを維持するためにZOOMやメールでの意見交換を中心に進めた。また、学会での情報収集や結果の公表を進めるために国内外のオンライン学会に1年を通じて参加することで対応した。さらに、試験的なサンプル提供をはじめとして、次年度以降に繋がる研究実施体制の拡充もおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
徳留(研究代表者)は、高濃度に分散したナノLDH粒子の分散安定化に寄与する因子を分光学的な手法を用いて明らかにする。また、機械的強度の向上に向けてケイ酸カルシウム系材料で粒子間を架橋した材料系の開発をおこなう。小幡(研究分担者)は、LDH粒子の細胞為害性評価をおこなうとともに不織布繊維へのLDHナノ粒子の添加や機能の開拓をおこなう。米山(研究分担者)は単色X線を用いた高速・高解像度イメージング系の構築をおこなうとともにイメージング実験を徳留と協力しておこなう。これにより、生体材料をさらに高感度にイメージングするためのプラットフォームを拡充する。次年度も新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い国内外の出張を伴う実験の実施は申請時の計画通り進まないものと想定している。したがって、各研究サイトにおける基礎科学的検討を重点的に実施する。研究打ち合わせはZOOM会議によりおこなうことを計画しており、試料の合成法をシェアする等の対応を取りながら対処したい。
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Research Products
(19 results)