2021 Fiscal Year Annual Research Report
先端量子ビームが解き明かす金属/樹脂接合界面の階層構造と接着機構
Project/Area Number |
20H02455
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Research Institution | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発 |
Principal Investigator |
宮崎 司 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, 室長 (70789940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 幹人 京都大学, 化学研究所, 教授 (30222102)
山本 勝宏 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30314082)
青木 裕之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (90343235)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有機/無機ナノコンポジット材料 / 中性子反射率法 / 界面水偏析 / 界面相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリプロピレン(PP)/Si界面への水の偏析について、調湿環境下で中性子反射率(NR)測定が可能なシステムを構築し評価した。PPは有機/無機ナノコンポジット材料の樹脂マトリクスとして代表的な高分子であり、Siは無機フィラーとして代表的な材料である。使われている環境下で界面に水が蓄積し、界面の相互作用を低下させることで材料の性能低下を生むと考えられている。そのため評価法の確立が急務となっている。 PP薄膜をスピンコート法により研磨したSi基板上に成膜した。25℃の重水の飽和蒸気圧下でNR測定を実施し、PP/Si界面に最大体積分率で0.5に達する重水が約3nm内で蓄積されることを見出した。このように材料中に埋もれた界面の数nm内の水の蓄積を評価することができたのは、NR法と重水蒸気の組み合わせがあったればこそであり、本研究の特徴を示すものである。 さらに引き続き、実際のナノコンポジット材料が使われる環境下、たとえば60℃、85%RH(RH:相対蒸気圧)での界面の水の蓄積量を評価するシステムの構築と評価をおこなっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた軟X線反射率測定による有機/無機界面の化学結合状態の評価は、軟X線反射率測定装置の開発が遅れているため、未達であるが、中性子反射率法による界面水偏析評価がシステムの開発も含めて計画よりも前倒しで進んでいる。そのため今後、軟X線反射率測定装置開発、とそれによる評価に注力することにより、計画の遅れは挽回できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
樹脂/金属界面の水偏析評価・解析については、計画よりも早く進捗している。今後は遅れている軟X線反射率計の開発、それによる界面化学結合評価技術の構築に注力することにより、本研究の最終目的を遅れなく達成できると考える。
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Research Products
(4 results)