2021 Fiscal Year Annual Research Report
局在フォノンエネルギー準位と熱輸送特性の相関理解に基づく熱伝導制御デバイスの創出
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20H02459
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 範彦 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60505692)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱伝導率 / フォノン |
Outline of Annual Research Achievements |
微小スケールで熱エネルギー輸送を制御するためには, 機械的駆動部を持たず簡便な方法で熱流を可逆的にオン/オフすることが可能な熱スイッチング機構が不可欠である.本研究では,ゲスト原子の局在フォノンエネルギー準位およびエネルギー分布と格子熱伝導率の相関を明らかにし,ゲスト原子を外場で操作することにより熱伝導率を飛躍的に変化させられる熱スイッチング材料の設計指針を得ることを目指す.一次元トンネル状骨格構造を有するイータ型鉄-アルミニウム系包接化合物は,ゲストアルミニウム原子の固体内拡散パスが存在し,ゲスト原子の脱挿入が容易であると考えられるためモデル材料として選定した.第一原理計算により得たフォノン分散関係を用いてKlemens-Callaway近似により見積もった格子熱伝導率の結晶方位依存性が,実験値と乖離することがわかり,トンネル構造内のゲスト原子振動の局在化に伴うバンドフラットニングによる群速度の低下だけではなく,ゲスト原子ポテンシャルの非調和性が大きく寄与していることを明らかにした.さらに,3次非調和項に相当するモードグリュナイゼンパラメータ,およびゲスト原子のトンネル軸方向およびその垂直方向の原子ポテンシャル曲線を第一原理計算により求めた結果,モードグリュナイゼンパラメータの結晶方位依存性はほぼ無いものの,原子ポテンシャルの4次項がトンネル軸方向に沿って相対的に大きいことが明らかとなった.これらのことから,鉄-アルミニウム系包接化合物の低い格子熱伝導率の主要因は,ゲスト原子の大きな4次非調和項であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異方性包摂化合物の格子熱伝導率の支配因子を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
ゲスト原子の脱離量と熱伝導率変化量の相関を調査する・またゲスト原子脱離挿入に伴う熱伝導率増減の可逆性・サイクル性の評価を行う.
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Research Products
(10 results)