2020 Fiscal Year Annual Research Report
Modified design for aluminum-based superalloys for improvement of creep rupture life at elevated temperatures above 200 degrees C
Project/Area Number |
20H02462
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高田 尚記 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70432523)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルミニウム合金 / 析出 / 計算状態図 / 合金設計 / 熱処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、熱力学データベースPanAlを用いて作成した計算状態図を基にAl-5Mg-3.5Zn (at%) の組成を持つ3元系合金に1%のCu とNiを添加した4元系合金を設計した。両合金組成における構成相の平衡モル分率の温度に伴う変化を計算した結果,Cu添加合金において,Cu元素はη-Zn2Mg相に分配され,η相の体積率を増加させることが予測された。一方,Ni元素3元系合金における強化相であるT-Al6Mg11Zn11相に分配せず,独立して金属間化合物Al3Ni相2) を生成すると予測された。 実際に設計した4元系合金を溶製した。それらの合金に溶体化処理(480 ℃ /24 h)を施した後,電気炉およびオイルバスにて時効処理(300 ℃ /0.1~1000 h)を施し,時効処理に伴う組織変化を調べた。 Cu添加合金では,溶体化処理後,粗大な晶出物(η-Zn2Mg相)が粒界に存在した。300 ℃時効処理後,η相の微細な析出物が粒界と粒内に確認された。Ni添加合金では,溶体化処理後,明るいコントラストの粗大な晶出物が観察され,Al3Ni相と考えられる。300 ℃時効処理後,T-Al6Mg11Zn11相の微細な析出物が粒内に観察された。いずれの合金とも,時効時間の増加に伴い析出物は粗大化した。また元素分析の結果、Cu添加合金では,晶出物と析出物に対応するη-Zn2Mg 相にCu元素の分配が観察された。またNi添加合金には,MgとZn元素が分配した相とNi元素が分配した相の二相が確認された.これらの相はT相とAl3Ni相である。なお,Ni元素はα-Al母相からほとんど検出されなかった。 以上の成果より、Cu元素は粒内に微細析出するT相(もしくはη相)の生成に寄与し,Ni元素は主に粒界のAl3Ni相の生成に寄与することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請書の予定通りの研究成果を到達するとともに、並行して,3D積層造形したAl-Fe合金が耐熱アルミニウム合金として非常に有望であることを見出した。来年度以降,申請書にある4元系・5元系アルミニウム合金の設計だけでなく,3D積層造形による合金創製も視野に入れて研究を遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までのAl-Mg-Zn-CuとAl-Mg-Zn-Niの両4元系合金の構成相と組織形態の知見を活かし,Al-Mg-Zn-Cu-Ni5元系合金の設計を試みる。その合金設計に資する信頼の高い熱力学データベースに基づいた平衡状態図が必要であるが,現状本5元系の信頼に足るデータベースは存在しない。そこで本研究では,基本組成であるAl-5Mg-3.5Znに4Ni, 3Ni-1Cu, 2Ni-2Cu, 1Ni-3Cu, 4Cuを添加した種々の5元系合金を作製し,それらの構成相を同定し,Al-5Mg-3.5Znをベースとした改良合金の指針となる相領域を実験的に同定する.これらの情報を熱力学データベースにフィードバックし,本研究にてAl-Mg-Zn-Cu-Ni5元系の熱力学データベースを構築する。
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Research Products
(15 results)