2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mechanism and improvement of photo-response of cells on semiconductors; Development of multiple cells 3D printer
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20H02467
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
上田 正人 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (40362660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 祐介 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主席研究員 (60447498)
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
池田 勝彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (20184434)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生体材料 / セラミックス / 光応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
§1光応答セラミック膜の作製:スパッタリング法にて,SiO2基板上へTiO2,(Ti,Nb)O2,ATiO3(A: Sr, Ca)を成膜できた。ターゲットには,それぞれ純Ti板,純Ti板と純Nb板,ATiO3圧粉体を用いた。ATiO3粉末はA(OH)2水溶液とTiO2粉末の水熱反応より合成した。 §2セラミック膜のキャラクタリゼーション:いずれも無色透明膜が得られた。TiO2膜のXRDパターンにはアナターゼ型のピークが観察された。Nbをドープするとそれらは低角シフトした。透過率スペクトルには400nm近傍に付加的な吸収が観察され,Nbへの投入電力を増加させるとその吸収が大きくなった。なお,UV域の基礎吸収に変化は認められなかった。ブラックライトを光源として光電流を測定するとNbドープによりその応答は鈍化した。しかし,タブレットを光源とした場合,Nbドープにより光電流が10倍近く増加した。 §3細胞接着の促進・忌避,接着細胞の剥離に及ぼす諸因子の分離: NbドープしたTiO2膜上に骨芽細胞を播種し,タブレットを用いて局所的に光を照射した状態で22 h培養した。良好な細胞接着特性を確認できたが,局所的な細胞の接着制御には至らなかった。一方,TiO2膜に対してブラックライトで局所的にUVを照射すると,明瞭な接着忌避が観察される。光応答膜の背面からUV照射し,PBS緩衝液に溶解したウシ血清アルブミン(BSA)の吸着量の経時変化をQCM(水晶振動子マイクロバランス法)により測定した。TiO2膜に同溶液を暗所下で接触させると共振周波数(F)は低周波数側にシフトし,タンパク質が表面に吸着している様子が観察された。UV照射下で同様の測定を行うとFは周期的に変動し安定しなかった。引き続き,ブラックライトをオフにすると表面吸着物の質量増加が観察され,細胞の接着挙動と等価な現象を捉えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
§1光応答セラミック膜の作製,§2そのキャラクタリゼーションに関しては,想定通りの結果が得られた。§3細胞接着の促進・忌避,接着細胞の剥離に及ぼす諸因子の分離に関しては,タブレットを用いた細胞の局所的な接着制御が実現していないので,その界面で生じている現象の解析はできていない。一方,QCMを用いた表面吸着に関する解析では,想定していたより順調に進み,細胞に対して解析されている傾向と同様の傾向を捉えることに成功している。したがって,総合的に「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画通り,Ti含有セラミックス膜に対する可視光応答性の付与を試み,局所的な光照射条件下の細胞実験を行うと共に,化学プローブ法やQCMを駆使し,光照射時の表面反応を捉える。さらに,可視光による細胞のパターン培養の実現が期待できるセラミック膜を広く探索する。具体的な方針は下記の通り。 §1可視光に応答するTi含有セラミック膜の合成:スパッタリング法にて,SiO2基板上へATiO3(A: Sr, Ca等)とTiO2の積層膜を合成し,半導体ヘテロ接合を構築する。同符号の電位勾配を連結させることにより,拡散電位の増大を狙う。それらセラミック膜において,不純物ドーピングも検討する。 §2可視光に応答するセラミック膜の合成:Fe2O3やWO3など,生体為害性の報告されていない元素で構成され,かつTiO2よりバンドギャップの小さいセラミックを探索する。さらに,スパッタリング法にて薄膜を合成する。 §3セラミック膜のキャラクタリゼーション(光学・光化学特性,表面状態):走査型電子顕微鏡,走査型プローブ顕微鏡,X線回折装置等を用いて,表面形態や結晶構造,結晶性等,一般的なキャラクタリゼーションを行う。さらに,分光光度計を用いた拡散反射法,透過法による光吸収スペクトル測定を行い,光応答に必要な波長を推定する。 §4細胞接着の促進・忌避,接着細胞の剥離に及ぼす諸因子の分離:細胞培養器に走査型電気化学顕微鏡のプローブを挿入し,局所的なポテンシオスタットとして利用することで,細胞の接着挙動に及ぼす電位,電流の影響を系統的に調査する。また,テレフタル酸等のラジカル捕捉剤を用いた化学プローブ法でラジカル発生量を測定することで,細胞接着挙動に及ぼすラジカルの寄与を定量評価する。さらに,光照射下の半導体表面に細胞が接近,接触, 接着,脱離する様子の観察にはQCMを利用する。
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Research Products
(6 results)