2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of nanogranular films with giant Faraday effect
Project/Area Number |
20H02468
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Research Institution | Research Institute for Electromagnetic Materials |
Principal Investigator |
小林 伸聖 公益財団法人電磁材料研究所, その他部局等, 研究員(移行) (70205475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薮上 信 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00302232)
池田 賢司 公益財団法人電磁材料研究所, その他部局, 研究員(移行) (40769569)
増本 博 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 教授 (50209459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノグラニュラー / 磁気光学効果 / ファラデー効果 / 磁性薄膜 / 磁気誘電効果 / 多機能性 / 透明強磁性 / フッ化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気光学効果であるファラデー効果を示す材料は、光アイソレーターに代表されるように、様々な光デバイス、とりわけ光通信システムに広く用いられ、先端情報技術には必須となっている。しかしながら、1972年にビスマス鉄ガーネット(Bi-YIG)が発見されて以来、Bi-YIGを超える大きなファラデー効果を有する物質は見つかっていない。さらに、光学デバイスの小型化および集積化のためには、磁気光学材料の微小化・薄膜化が必須であるが、Bi-YIGを薄膜化すると特性が大きく劣化してしまう。本研究の提案する、セラミックスと微細な磁性グラニュールから成るナノグラニュラー膜は、光通信波長帯においてBi-YIGの40倍もの大きなファラデー効果を示す。 本研究では、ナノグラニュラー膜において、膜組成や作製方法を検討することによって、大きな光透過性と大きなファラデー効果、すなわち性能指数の優れた材料の開発を目指す。これまでの研究成果から、膜組成の検討によって、マトリックスの結晶性を向上させ、高い光透過性を示す膜が得られ、高い性能指数が実現することが明らかになった。スパッタ膜の結晶性は、成膜時における基板温度、また成膜後の熱処理によって変化することが知られている。本年度は、基板過熱および成膜後の熱処理による効果を検討し、それらの加熱条件を最適化することによって、更なる性能指数の向上を試みた。その結果、特に成膜後の熱処理により、光透過率およびファラデー効果の両方が大きく改善することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノグラニュラー膜において、新たに基板過熱や熱処理によって性能指数が向上することが分かった。ナノグラニュラー膜の磁気光学特性は、膜構造、特にマトリックスの結晶性に依存し、良好な結晶性を有する膜において、優れた性能指数を示す。ナノグラニュラー膜作成時の加熱工程、特に成膜後の熱処理によって結晶性が向上し、それに伴ってファラデー効果の優れた性能指数を得ることができた。この結果は、基板過熱および熱処理を最適化することによって、さらなる特性の改善が可能であることを示しており、目的とする特性を有するナノグラニュラー膜の実現に向けて、有望な結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた結果を基に、ナノグラニュラー膜の基板温度および熱処理などの加熱条件と、得られた薄膜試料の構造および諸特性の関係を明らかにする。この知見を試料作製にフィードバックすることによって、さらに高い磁気光学特性を有するナノグラニュラー膜合成のための方針の確立を目指す。さらに、対象とする組成系の選択範囲を窒化物や酸化物にも拡大して、フッ化物以外のマトリックスについても成膜後の加熱処理を詳細に検討することによって、膜中のマトリックスを構成するセラミックスの結晶化を促進し、性能指数の向上を図る。本研究の最終の目的は、ナノグラニュラー膜の非相反ナノフォトニックデバイスへの応用であることを考慮し、デバイス作製プロセスへの適用性の検討を進める。
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