2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H02471
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
任 暁兵 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 上席研究員 (50292529)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 非鉛圧電材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.「三重点MPB機構」を裏付けする理論を提唱し、これまで観察された高性能非鉛圧電材料の挙動をよく説明できた。(Phys. Rev. B 2021) 本研究の中心である「三重点MPB機構」は我々が以前提唱したが、これまで複数の材料系でこの機構と一致する特性が現れている。しかし、この機構の理論的な裏付けが未だなく、果たして一般性のある機構かどうかは不明であった。今年度では、我々がLandau理論を用いて、「三重点MPB機構」は一般性のある機構を証明した。これによって、この機構で新しい高性能非鉛圧電材料の設計に指針を与えるものとなる。 2. 我々が開発した非鉛圧電材料BZT-50BCTの安定性を向上するため、長時間実行を施し、Defect Dipoleを形成させる。その結果、圧電効果の安定性が大きく向上した。(Scripta Materialia 2021) 非鉛圧電材料はこれまで特性の安定性について大きな課題になっているが、室温付近で相転移があるため、安定する特性を得るのは大変困難だあった。本研究では、長時間実行を施し、ドメイン境界及び相境界を安定化にし、圧電特性の顕著な向上を実現した。 3. MRBによる高い電歪効果及び小さいヒステリシスを同時に実現した。(Acta Mater2021)。Relaxor強誘電体に共存する異なる種類のナノドメイン状態を見出し、それによって、これまで難しかった電歪効果及び小さいヒステリシスの両方を同時に実現した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環境の湿気が材料作製及び特性に大きく影響するという予想外の困難が発生したため、前年度年度末に乾燥グローブボックスを購入し、湿気の影響を低減試みしている。グローブボックスに電気炉や測定装置を導入し、再度実験に挑戦をしている。現在では、大分改善した結果が得られ、この困難を克服する方向性がみえている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.湿気の影響を取除いた新しい試料を再合成し、「三重点MPB機構」に基づいて高性能非鉛圧電材料の設計及びdopingによる安定性の向上 2.得られた新規非鉛圧電材料の組成最適化を行い、その特性を評価する。 3.分極条件を最適化し、高いKp及びQm、d33を同時に実現することを探索する。 4.CIPによる密度の高い試料を作成し、特性向上を図る。
|