2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Multiphysics at High-temperature Melt Interface with Electrodeposition Microcalorimetry
Project/Area Number |
20H02491
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
夏井 俊悟 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (70706879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 亮輔 北海道大学, 工学研究院, 特任教授 (80179275)
植田 滋 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80359497)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高温融体界面 / 電位・電流応答 / 熱移動 / 流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
電位制御された高温融体-金属液滴界面を対象として、電気化学反応が進行する界面の動的挙動理解・制御のために新規学理展開を試みた。具体的には、①高温溶融塩中で電析する溶融金属界面、②銅含有溶鉄-溶融スラグ界面、の電位印加による熱的・力学的・電気的応答を同時計測を可能とする活動を行った。 ①1173K溶融塩化カルシウム中において、極細モリブデンシース熱電対を作用極として電気分解を実行した。電気化学反応が進行中の電極温度を計測するために、熱起電力を増幅した後ローパスフィルタを通してホワイトノイズを除去、場合によってはフーリエ変換によるデジタルフィルタを通すことにより、1K以下の温度変化も追跡することができた。なお、カルシウム電析は吸熱反応である。塩化カルシウム二水和物を0.5mol%添加すると、時間-電位-電流応答としては明確に現れないが、気泡の発生とおそらく水素化物形成によって顕著な発熱反応を示すことが示された。 ②溶鉄中トランプエレメントの電気化学的除去法の開発を目指し、銅含有溶鉄にてアノード反応を生起させ、スラグ浴へ銅を酸化除去することを試みた。1773K溶融模擬高炉スラグ中で、10mol%銅含有溶融鉄を電極とした電気化学測定を実行した。Pt/Pt2O平衡電位を参照電極として得られたサイクリックボルタモグラムより、Fe, Cuの混成酸化電位と考えられるアノードピークが認められ、+2.0V vs Pt/Pt2O QREで定電位電解を行ったところ、ICP-AES分析から溶融スラグ中へのCuの一部溶解が認められた。 以上、2020年度は制限された実験機会ではあったが、実験協力者との連携を綿密に行い、目的とする解析に至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、1773Kの高温融体中での安定な参照電極作成や、適切な導通など比較的難易度が高い技術的課題をクリアでき、目的とする知見拡充が出来てきている。一方、北海道大学と東北大学で別の実験を実行していたため、現在は研究責任者の所属する東北大多元研に機器を集約し、技術を融合して高めることとした。また本研究において開発した数値解析手法の応用も可能となったため、本研究成果の一部として論文発表を行った。今後の見通しが立ったことを鑑みて、概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、溶融2液相間の平衡状態と、電極を挿入して分極した場合における擬似的な平衡状態とを比較して定量化したい。一方、高温実験回数を増やす必要があり、また2融体間の平衡に達するまで24時間以上要することも多い。そこで、北海道大学に設置してある電気化学測定システムおよびグローブボックス一式を東北大学に移設して、技術集約することにより大幅な実験効率化を図る。同時に異相多界面を有する融体移動を動力学的に解く数値解析を実行できる環境が整っているので、引き続きシミュレーションによる相補的現象理解にも取り組む。
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