2021 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロセルラープラスチックスの発泡過程の解明と定量的予測可能な理論モデルの確立
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20H02506
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
滝嶌 繁樹 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10188120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 伸一 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (30284524)
宇敷 育男 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (30734850)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発泡プラスチック / 超臨界流体 / 微細発泡 / ガス溶解度 / 拡散係数 / 界面張力 |
Outline of Annual Research Achievements |
「1.樹脂+発泡剤系の気泡核生成速度推算式の確立」については、粘性媒体中の低分子物質の分子動力学シミュレーションモデルを開発している途中であるが、高分子鎖の連結や絡み合いの状態が気泡核生成に与える影響を良好に表現できておらず、まだ成果が得られていない。今後、モデルを完成させて、低分子クラスターの発生速度,クラスターの大きさの分布,各大きさのクラスターの成長/消失割合に対する、温度,圧力,過飽和度,各種物性の影響を明らかにできるよう継続して検討を進める。 「2.気泡合一速度推算式の開発」については、現有の可視型発泡実験装置を用いて種々の条件で気泡合一現象を観察すると共に、この結果を定量的に表現できる気泡合一速度の推算式を検討した。気泡合一の初期段階では、気泡形状が球形から変化して接触面が観察され、その面積と厚みは単純な幾何学モデルと粘弾性モデルを組み合わせることで表現できることがわかった。ただし、気泡中心間距離がわずかに変化しており、これが接触面の膜厚に大きな影響を与えるため、2022年度はこれについて検討する。 「3.樹脂+発泡剤系の発泡シミュレーションモデルの確立」については、シミュレーションで必要となる溶解度、拡散係数、粘度、界面張力等の物性値の測定と推算法の開発を行った。特に、溶解度と拡散係数の推算に関しては、EVAc (poly(ethylene-co-vinyl acetate))を対象として、状態式中の相互作用パラメータや自由体積理論中の2定数の温度・圧力・ポリマー種の依存性を検討し、推算式を開発した。また、高圧界面張力の測定装置を開発し、polypropylene+CO2系とpolyethylene+CO2系の測定を行った。さらに、EVAc+ガス系に対して発泡実験を行い、気泡核生成と気泡成長に対する発泡シミュレーションとの比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの影響で研究活動が制限された時期があったこと、および、研究協力者の予定であった博士課程後期の外国人留学生が研究テーマを変更し、研究協力者が少なくなったことで粘性媒体中の低分子の分子シミュレーションモデルの開発が遅れていることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
「1.樹脂+発泡剤系の気泡核生成速度推算式の確立」については、2021年度に引き続いて粘性媒体中の低分子物質の分子動力学シミュレーションモデルを開発し、発泡実験結果と併せて、低分子クラスターの発生速度,クラスターの大きさの分布,各大きさのクラスターの成長/消失割合に対する温度,圧力,過飽和度,各種物性の影響を明らかにする。 「2.気泡合一速度推算式の開発」については、気泡合一前期の接触面の薄膜化、後期の接触面の破裂、及びその後の気泡の変形について、可視型発泡実験装置を用いて種々の条件で観察すると共に、この結果を定量的に表現できる推算式を検討する。 「3.樹脂+発泡剤系の発泡シミュレーションモデルの確立」については、既存のシミュレーションモデルに、1と2の結果を組み込んで、より適用範囲の広いシミュレーションモデルを構築する。また、引き続いて発泡実験と物性測定・推算も対象を広げて検討する。
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Research Products
(3 results)