2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of deposition mechanism of colloidal crystal thin film with Alder phase transition and continuous deposition process
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20H02510
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
不動寺 浩 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (20354160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 祥一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (20514863)
打越 哲郎 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (90354216)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コロイド結晶 / 移流集積 / 相転移 / 懸濁液 / 構造色 / 塗工 / ロールツゥロール / ブラッグ回析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はコロイド懸濁液が濃縮結晶化するメカニズム解明、成膜速度の高速化の可能性、そして濃縮結晶化による連続成膜の検証の3つのサブテーマより構成される。 ①濃縮結晶化メカニズムの解明:移流集積法とオイル被覆法との比較を行った。両者の引上げ速度(v)と膜厚(t)の相関を比較すると、移流集積法ではtはv-1乗であるのに対しオイル被覆法ではv-1.5乗と違いが見られた。なお、両者の成膜は基板の引上げ(Dip Coating)で実施した。両者を同一速度で引き上げた際、コロイド結晶の膜厚はオイル被覆法が厚くなることが分かった。なお、オイル層の被覆膜厚には影響しなかった。なお、本サブテーマは米国ワシントン大学の共同研究者で化学工学の理論モデルの専門家であるLucient Brush准教授とオイル被覆法と移流集積法の違いについて説明できるモデル構築を進めている。 ②成膜速度の高速化の可能性:エタノール系シリカ懸濁液を利用し、アプリケーターによる水平塗工による高速塗工について系統的な実験を進めた。アプリケーターの掃引速度vとコロイド結晶の膜厚tの関係からv2/3乗であり、塗工工学で古くより知られてきたLandau-Levichモデルに従うことを確認した。また、同じ懸濁液を用いDip Coatingによる移流集積法で成膜した場合と比較すると、成膜速度が10000倍のオーダーの成膜速度の高速化が明らかとなった。 ③連続成膜の検証:②のエタノール系シリカ懸濁液を利用しR-to-R成膜装置のマイクログラビア塗工による成膜プロセスを検討した。コロイド結晶の膜厚や結晶性に課題が残る(配向面がFCC(111)面に加えFCC(100)面が生じるケースがある)ものの、1mを超える連続成膜が可能であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の3つのテーマの進捗状況であるが ①濃縮結晶化のメカニズムの解明:コロイド結晶の品質評価について、FDTDによる計算値を到達可能な理論値とし測定データから達成度を評価した。なお、比較の際に積層数を同等にして評価した。メカニズム解明に於いて、移流集積法や高速成膜のLandau-Levichモデルについてそれぞれ比較することでオイル被覆法のモデル化を進めていく参考になると考えている。最終年度は共同研究者の専門家と得られたデータを元にメカニズム解明に繋げていく。このテーマについては2022年度に共同研究者の元へ渡米して議論を進めていく予定であったが(2022年秋時点で新型コロナの感染状況が完全に終息していないため海外渡航自粛のため)実現できずメールベースで研究を進めており、当初の計画よりやや遅れている。 ②成膜速度の高速化の可能性:シリカ粒子のエタノール懸濁液系を用いて、粒子濃度や溶媒のエタノール濃度、水平型の塗工成膜装置で成膜条件を変えて、系統的な実験を実施できた。また、結晶性の評価においてコロイド結晶薄膜はFCC(111)面の積層数が同等にした上で評価した。また、FDTD計算の理論値との比較も同時に行った。このサブテーマについてはおおむね順調に進展している。 ③濃縮結晶化による連続成膜の検証:エタノール系の懸濁液の調製について従来のポリスチレンコロイド粒子では懸濁液の粒子濃度と分散性に課題があり、R-to-Rの連続成膜によって形成した薄膜に(コロイド結晶の特徴である)ブラッグ回折ピークを検出できなかった。一方、粉末状の単分散シリカ粒子を直接エタノール溶媒に分散させ、調製した懸濁液を、R-to-Rの連続成膜に適用した。この懸濁液の塗工ではコロイド結晶であることが確認でき、マイクログラビアロールによるR-to-R連続成膜が実証できた。 全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(2023年度)においては引き続き3つのサブテーマの実験を継続し、後半は取り纏めを行う。 ①濃縮結晶化のメカニズムの解明:オイル被覆法に関して移流集積法との違いを中心として成膜モデルの違いについて論文に取り纏める(米国Lucient Brush准教授との共著)。濃縮結晶化については透過型顕微分光システムを用いて反射ピークの計測と顕微鏡観察により結晶化過程の状態変化を観察・測定する。 ②成膜速度の高速化:引き続き、水平型のバーコータータイプの成膜装置の実験を行うと共に、引き続き、Landau-Levichモデルを参考にしながら、系統的な実験を積み重ねる。また、オイル被覆法や移流集積法で形成したコロイド結晶に比較し反射ピークがブルーシフトする現象について解明する。この高速成膜について既存の類似研究(主に移流集積と報告)を精査し、我々がLangmuir2020で報告した濃縮結晶化の現象を踏まえ、高速成膜に関する新視点からの切り口で論文として纏める。 ③連続成膜の検証:前年度に引き続き、マイクログラビアロールの調整を含め想定した積層数の連続成膜とその結晶性評価を行い、水平塗工装置のバッチプロセスの成膜と同等レベルの品質を有するコロイド結晶の成膜を目標とする。なお、配列粒子のPETシートへの固定を含め更に長い連続成膜について検証する。また、必要に応じて高速連続成膜に関する知財権の獲得をおこない、学術的研究成果に加え、プロセスの工業化を見据えた企業への技術移転も併せて推進する。
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Research Products
(6 results)