2020 Fiscal Year Annual Research Report
活性種の時空間制御が可能なフロー電解反応を基軸とする多段階連続反応システムの創製
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20H02513
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
跡部 真人 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (90291351)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フローマイクロリアクター / 有機電解反応 / 電解発生活性種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、グリーン・サスティナブルケミストリーの一翼を担うことが期待される有機電解プロセスの高効率化、高選択化、高度制御化を指向し、「有機電解反応」と「マイクロフロー技術」との融合を推し進める。特に反応場が微小空間であるマイクロリアクターの特徴を最大限に利用し、電気化学的に発生させた高活性種あるいは不安定な基質や中間体を時間的・空間的に制御することで、従来法では決して実現できない全く新しい高効率・高選択的な多段階連続反応システムの創製を目指す。 電解により発生できる活性種には、イオン種、ラジカルイオン種、ラジカル、カルベンなど様々なものがあるが、2020年度の研究ではクロロホルムの陰極還元によるトリクロロメチルアニオンの発生を選定し、これを後続反応のアルデヒドのトリクロロメチル化に利用した。トリクロロメチルアニオンは陰極還元によって発生可能なことが知られているが、非常に不安定で容易にジクロロカルベンに変換されてしまうことから通常は低温、不活性雰囲気での取り扱いが求められるなど困難が伴う。これに対して、電解発生によるトリクロロメチルアニオンをマイクロフロー技術の援用により温和な条件下において即座に後続反応であるアルデヒドのトリクロロメチル化に利用することで、効率的なトリクロロメチルカルビノール類の合成が達成されることを実証できた。 当該プロセスの反応生成物で得られるトリクロロメチルカルビノール類は、重要な合成中間体であることから、本反応結果は非常に意義深いものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に予定されていた研究項目「反応活性種の電解発生と後続化学反応への利用」について、クロロホルムの陰極還元によるトリクロロメチルアニオンの発生とアルデヒドのトリクロロメチル化への利用をモデルプロセスとしたことで問題なく実証された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は研究項目「反応活性種の電解発生と後続化学反応への利用」について、カテコールの陽極酸化によるo-ベンゾキノンの発生と各種求核剤との反応利用をモデルプロセスとして実証する。また、もう一つの研究項目「プレ化学反応で発生させた不安定化学種を基質とするフロー電解反応」にも順次着手する。
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Research Products
(18 results)