2020 Fiscal Year Annual Research Report
Visualization and evaluation of physiological responses by membrane dynamics
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20H02536
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高木 昌宏 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00183434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 直史 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (20700181)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 温感剤 / カプサイシノイド / 相分離 / 液体秩序相 |
Outline of Annual Research Achievements |
[背景]生体膜はリン脂質を主成分とする脂質二重膜構造であり、二重膜が丸く閉じた構造はリポソームと呼ばれ生体模倣膜として用いられている。多成分リン脂質膜では組成の不均一な構造が形成され、相分離として理解されている。生体膜でもラフトと呼ばれる組成の不均一な構造が形成され、膜タンパク質が集積し機能を発現する場となっていると考えられている。カプサイシンに代表される温感剤は、疎水的であるため、生体膜の疎水部に取り込まれ、膜物性に影響を与えると考えられる。そこで、温感剤の化合物である3 種類のカプサイシノイドが生体模倣膜の相分離構造へ与える影響を温度に注目して調べた。 [実験方法]本研究では飽和脂質DPPC、不飽和脂質DOPC、Cholesterol (Chol)から成る細胞膜を模した系へカプサイシノイドの一種であるカプサイシン(CAP), ジヒドロカプサイシン(DICAP), ノニバミド(PAVA)をそれぞれ添加し、相挙動を蛍光顕微鏡で観察した。また脂質とカプサイシノイドの相互作用を調べるために、示差走査熱量測定(DSC)を行った。 [結果・考察]Cholを含まない膜にカプサイシノイドを添加した結果、いずれも相分離形成に影響を与えなかった。Chol を含む膜にカプサイシノイドを添加した場合、CAP とDICAP は相分離形成を阻害し、PAVA は強く影響を与えなかった。CAP, DICAPは液体秩序相(Liquid-ordered phase: Lo phase)に分配されドメインを不安定化させ、PAVA はLd 相に分配されドメインに影響を与えなかったと考えられた。CAP とDICAP の温感作用の大きさは同程度であり、PAVA はそれらより温感作用が小さいので、これらの実験結果は、カプサイシノイドが細胞膜に影響を与えて温感作用が働くことと関連している可能性があると考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
温感剤の膜との相互作用について、有意義なデータが得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに様々な化合物について、膜ダイナミクスを調べる予定である。また、ヒト試験(スティンギングテスト)等も計画する事で、膜ダイナミクスと生理機能の相関を、より詳細に調べる計画である。
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Research Products
(8 results)