2022 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラを標的とするナノヒーターの創製とガン温熱療法の深化
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20H02538
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井藤 彰 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60345915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 弘基 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (20455398)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 温熱療法 / 磁性ナノ粒子 / ミトコンドリア / がん治療 / ドラッグデリバリーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である令和4年度は、研究申請書の研究実施計画にしたがって、以下の通り研究を進めた。 昨年度までに開発したミトコンドリア標的性分子TPPを搭載したミトコンドリア標的型磁性ナノ粒子を用いて、分担研究者である東京大学大学院薬学系研究科の岡部弘基助教らが開発した蛍光ナノ温度プローブを用いてミトコンドリア標的型磁性ナノ粒子の発熱を蛍光顕微鏡下で観察しながら、ミトコンドリアを蛍光トレーサーで二重染色して、細胞内で磁性ナノ粒子によるミトコンドリア特異的な発熱が達成されているかを調べた。 一方で、交流磁場照射によるミトコンドリア標的型磁性ナノ粒子の発熱によってCT26大腸癌細胞に細胞死を誘導し、ミトコンドリア標的によって高い殺細胞効果が発揮されるかを調べた。ミトコンドリア標的型磁性ナノ粒子を取り込ませた細胞をペレットにして、交流磁場を照射したところ、TPPを含まないコントロールの磁性ナノ粒子と同等の発熱であったにも関わらず、ミトコンドリア標的型磁性ナノ粒子を取り込ませた細胞の方が有意に高い細胞死が誘導された。このことは、ミトコンドリアを加温することでがん細胞死が効率的に誘導可能であることを示唆している。 さらに、前臨床研究として、マウスCT26大腸がん細胞を移植した担癌マウスを使用して、in vivo治療実験を行った。マウス皮下腫瘍内へ磁性ナノ粒子を直接投与して、交流磁場で発熱させる治療実験を行い、治療後の腫瘍サイズを経時的にモニターすることでミトコンドリア標的型温熱療法の治療効果を検討したところ、6匹中5匹のマウスの腫瘍が完全退縮した。 これらの結果から、ミトコンドリア標的型磁性ナノ粒子は、がんの急所を突く武器として、がん治療に有用であると考えられる。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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