2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism in disease protection of the fish epidermis-derived probiotics.
Project/Area Number |
20H02539
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中谷 肇 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (80456615)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 克敏 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50302956)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 抗菌物質同定 / 表皮細菌叢解析 / プロバイオティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までにモデル魚類であるゼブラフィッシュより取得した、魚類の病原菌の増殖を抑える共生細菌Pseudomonas mosselii KHZF1を培養した培養上清から抗菌物質を抽出・分離精製する方法を見出し、抗菌物質がPseudoiodinineと呼ばれる既知の物質であることが明らかとなったが、精製した抗菌物質を用いて、最小増殖阻害濃度(MIC)を測定したところ、様々な魚類病原菌に対して低濃度で増殖を阻害した。また、抗菌物質はグラム陰性菌、陽性菌、酵母にも増殖阻害活性を示した。増殖阻害濃度は以前に報告されていたMICとは異なっていた。このことから、魚病細菌の感染に対するKHZF1の感染防除効果にはPseudoiodinine関与していることが示唆された。また、KHZF1と魚類病原菌を共培養し、魚類病原菌の生存細胞数を計測したところ培養開始12時間程度を境に魚類病原菌の細胞数が急減したことから、抗菌物質は殺菌的に作用することが明らかとなった。 次に、KHZFが持つ全遺伝子を明らかにするために、KHZF1の全ゲノム配列を次世代シーケンサーを用いて得た。さらに、抗菌物質の生産に関わる遺伝子を特定するために、抗菌物質を生産する条件としない条件を合成培地を用いて検討したところ、鉄(III)イオンを含む条件では抗菌物質を生産し、含まない条件では生産しない事が明らかとなった。鉄イオンを含む条件と含まない条件で培養したKHZF1で発現している遺伝子を解析するために、次世代シーケンサーを用いて発現しているmRNAの配列データを得た。 今後はゲノム配列のアセンブリーとアノテーションを行い、RNAシーケンスで得られた発現遺伝子のデータと合わせて、抗菌物質の生産に関わる遺伝子の特定を試みる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により、次世代シーケンシングに必要な物資の物流が滞っていただが、その状況も改善しこれまでに準備してきた実験サンプルの解析が行えるようになったため、当初予定していた実験スケジュールに近い、進展状況になりつつある。ただし、これまで保存していた菌叢解析用サンプルやRNAサンプルから得られたデータの量が膨大であるため、詳しいデータの解析にはやや時間を要する状況となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
KHZF1のゲノム配列のアッセンブルとアノテーションを進め、これをもとにRNAシーケンスで得られた遺伝子発現データの解析を行い、抗菌物質の生産に寄与する遺伝子を探索する。また、KHZF1のゼブラフィッシュ体内での動態を調べるために、KHZF1投与後に鰓、腸、表皮より得た16srDNA配列のデータについても解析を行い、KHZF1が表皮で作用する以外の可能性を探る。
|