2020 Fiscal Year Annual Research Report
プラズモン光吸収体の散乱評価と真の完全吸収構造の探求
Project/Area Number |
20H02545
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西島 喜明 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60581452)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プラズモニクス / 光熱変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
光吸収メタ表面は正反射に対して無反射に近い光学特性を得ることができるが、実際にその光が全て吸収されているかどうかを確かめた研究例がない。本研究では、光散乱断面積と光吸収断面積を定量的に評価する手法を確立し、メタ表面の光特性の本質を明らかにするとともに、散乱を抑制し実質的な吸収断面積の高いプラズモンメタ表面構造を構築することを目的として研究している。 今年度の研究では、FDTD法による電磁界シミュレーションによって、散乱断面積と吸収断面積を定量的に評価する手法を確立することに成功した。また、通常のメタ表面では、金と誘電体の間にクロムやチタンを接着層として使用する。この接着層に使う金属は一般的に電気抵抗が比較的高く、低反射率・高光吸収特性を示す。そこで、この接着層として用いているクロムの膜厚を調整すると、FDTD計算から散乱断面積に対して吸収断面積の割合を2倍強まで増大させることができることを見出した。この光吸収と光散乱の特性は赤外放射効率に大きく影響する。すなわち、散乱が大きく吸収が低い構造では低反射状態でも放射効率は低い。放射スペクトルと反射スペクトルの相関を定量的に評価していくことにより、実験的にもクロムによって光吸収が促進されていることを明らかにすることができた。これはFDTD計算の結果を良好に再現する結果が得られたと評価できる。また、積分球を使った計測から、散乱スペクトルを実際に測定することにも成功した。今後は実験的にも散乱断面積と吸収断面積を定量的に測定する方法を確立するとともに、完全な光吸収構造の構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた研究課題に対して順調に研究成果が得られた。また、吸収層を工夫することで吸収断面積を向上できるという、新たな結果が得られたことから、次年度にさらに吸収特性を向上できるつながる見込みが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実験的にも散乱断面積と吸収断面積を定量的に測定する方法を確立するとともに、完全な光吸収構造の構築を目指す。 特に、光吸収層を導入するとよいとの観点が得られたので、新たな吸収媒質を誘電体層に用いることを検討する。
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