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2021 Fiscal Year Annual Research Report

Single-Molecule Imaging of Structural Dynamics of a Polymer Chain and Interactions between Polymer Chains

Research Project

Project/Area Number 20H02546
Research InstitutionJapan Advanced Institute of Science and Technology

Principal Investigator

篠原 健一  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (10292244)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsナノマシン / ポリマー / 1分子イメージング / 高速AFM / 人工生命機能 / キラルらせん / バイアスブラウン運動 / 分子モーター
Outline of Annual Research Achievements

分子間相互作用には、ファンデルワールス(vdW)相互作用、静電相互作用、水素結合による相互作用、水中における疎水性相互作用などがある。本研究では、これらの相互作用がポリマーの分子内(鎖中)および分子間(鎖間)でどう働き、どのような構造とダイナミクスが観測されるかを明らかにする。

例えば、らせん構造を有していれば、分子鎖表面に周期的な凹凸構造ができるので、鎖表面においてvdW相互作用で分子咬合(噛合い)が可能である。ここを足場として次の状態へ遷移するという運動を制御できれば(方向の制御は次の段階として)、分子モーターの基本的原理となる。全原子MDによるin silico観察と連携させてこの機構を解明する。また有機合成化学的手法によって分岐構造を有するキラルらせんポリマーを合成し分岐構造が分子運動に与える影響を高速AFMでイメージングする。

またイオン性ポリマーにおいては、アニオン性ポリマー鎖とカチオン性ポリマー鎖の相互作用動態を高速AFMイメージングおよび動態解析することで、静電相互作用のダイナミクスを解明する。合わせて全原子MDによるin silico観察と連携させてこの機構を理解する。そして、「ナノマシンの一方向性プロセッシブ運動の発見」に関する成果の考察を深め、「なぜ一方向性が生み出されるのか?という問いに分子レベルで答えたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

【アニオン性長鎖上をプロセッシブ運動するカチオン性短鎖分子】室温の水溶液中、PAA・HCl短鎖分子がPAMPS長鎖分子上を離れることなくプロッセブ運動した。この動態をPIV法によってベクトル解析した結果、PAMPSの長鎖に沿って溶媒流)が発生していることが明らかになった (整流効果)。PAMPS/PAA・HCl間の静電相互作用とPAMPS長鎖に沿った溶媒流によって高分子鎖上のプロセッシブ運動が観測されたと考察した。また、静電相互作用によるポリマー鎖同士の結合は、全原子MDシミュレーションで確認された。

【複合分子鎖の一方向性プロセッシブ運動とその制御】室温の水溶液中、PAMPS長鎖とPAA・HCl短鎖からなる複合分子鎖がマイカ基板上を一方向にプロセッシブ運動した。PIV解析を行ったところとPAMPSに沿った溶媒流が発生していることが明らかになった(整流効果)。また観測された複合分子鎖の一方向性プロセッシブ運動は、全て共通して進行方向が構造の偏りに依存する傾向にあった [例えば、PAMPSの上側にPAA・HClが結合した場合の進行方向は上、PAMPSの下側にPAA・HClが結合した場合の進行方向は下]。PAMPS/PAA・HCl複合分子鎖の「しなやかな」非対称構造と整流効果が一方向性運動を生む本質であり、バイアスブラウン運動であると考察した。さらに複合分子鎖からPAA・HCl分子が解離すると、一方向性プロセッシブ運動が停止することを発見した。ポリマー1分子運動を制御することができることを示す。ナノマシン開発において重要な知見である。

【分岐を有するキラルらせん高分子の合成とAFM計測】ペンダントにコレステリル基を有する置換フェニルアセチレンと少量のビス置換アセチレンモノマーを共重合した。得られたポリマーを高速AFMイメージングしたところ分岐構造を確認し長鎖分岐の長さ等の計測に成功した。

Strategy for Future Research Activity

【静電引力の1分子力学計測】アニオン性ポリマー(PAMPS)鎖とカチオン性ポリマー(PAA・HCl)鎖の静電引力による力発生を計測したい。実験にはレーザートラップ法を用い、トラップするビーズ(カルボキシル化ポリスチレン)にPAA・HClを結合させ、ガラス基板にはPAMPSを吸着させる。そして水溶液中室温における静電相互作用を観測する。これによってイオン性相互作用に基づくポリマー分子モーターの特性が解明される。

【分岐を有するキラルらせんポリマーによる分子モーター制御】既に我々は長鎖分岐を有するキラルらせんポリマーの合成に成功している。高速AFMで基板上に吸着して分岐ポリマーを観測しながら短鎖分子を加えて短鎖分子と長鎖分子ポリマーとのvdW相互作用に基づくダイナミクスを解明する。本研究のねらいは、分岐による短鎖分子の進行方向の制御(列車のポイント機能)である。

高速AFMで分子モーターを可視化し、レーザートラップで分子モーターを力学計測する本研究手法は人工分子マシン開発におけるスタンダードとなる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021 Other

All Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] ポリマー1分子の直視:分岐構造を有するキラルらせん高分子の合成と1分子イメージング2022

    • Author(s)
      堀諒雅、篠原健一
    • Organizer
      日本化学会第102春季年会、C203-1vn-13
  • [Presentation] ポリマー1分子の直視:アニオン性ポリマー長鎖とカチオン性ポリマー短鎖の 複合分子鎖の一方向性プロセッシブ運動の再現性2021

    • Author(s)
      大貫佑河、篠原健一
    • Organizer
      第70回高分子討論会、3J04
  • [Remarks] 北陸先端科学技術大学院大学・篠原研究室

    • URL

      http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/shinohara/

URL: 

Published: 2022-12-28  

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