2021 Fiscal Year Annual Research Report
Optical Manipulation at Interfaces
Project/Area Number |
20H02550
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
坪井 泰之 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (00283698)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光ピンセット / ナノ粒子 / プラズモン / ブラックシリコン / 光圧 / ミー共鳴 / ブラックチタン / 蛍光顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
・インコヒーレント光マニピュレータの開発 従来まで光マニピュレータとは、「レ―ザーマニピュレータ」であった。つまり、捕捉用の光源は全てレーザーであった。私たちは金属チタンのナノ構造が大きな光電場増強能を持つ発見し、新たな革新に成功した。すなわち、レーザーではなく、水銀ランプの光で、それも従来よりも100万分の一弱い光強度で、20 nm サイズのナノ粒子の捕捉に成功した(サイズ20 nm 以下のナノ物質を捕捉・操作の実現)。私たちの光強度は、太陽の光を虫眼鏡で集めたそれに近く、天然のインコヒーレント光で光捕捉できる可能性を示したので、顕微鏡やレーザーという制約を一気に取り去った全く新しい光捕捉法への道を示した意義は大きい。 S. Hashimoto et al. & Y. Tsuboi, ACS Appl. Mater. Interfaces, Vol. 13, No. 23 (2021), 27586-27593. ・光マニピュレータによる量子状態制御 ブラックシリコン光マニピュレータにより、蛍光性ポリマーを捕捉できた(ナノ物質の祖捕捉と操作)。そして、その蛍光の色をレーザー光の強度だけで青,緑,黄緑,黄色,オレンジ色に完全リモートかつ可逆的に自在にコントロールできる方法を開発した。本技術は可視域だけでなく、紫外域や近赤外域における発光色の制御にも適用できる。マイクロカプセルの中にナノ構造シリコンとペリレン修飾ポリマー水溶液を封入すれば、波長可変型の、マイクロ光源となりえる。これは、マイクロマシンの部品や細胞内バイオイメージングへの応用などが考えらる。 R. Takao et al. & Y. Tsuboi, Angew. Chem. Int. Ed., Vol. 61 (2022), e202117227.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目標を完全に達成した。 1)油水界面光マニピュレーション法: バルク液中では捕捉できないチタニアのナノ粒子やナノダイヤモンドを油水界面で捕捉できた。さらに、これを光触媒反応にまで応用で来た。この応用は当初の目標を超える。 "Optical Trapping of Nanocrystals at Oil/Water Interfaces: Implications for Photocatalysis" Yasuyuki Tsuboi et al., ACS Appl. Nano Mater., Vol. 4 (2021), 11743-11752. 2)インコヒーレント光ピンセットの開発: 既述の通りである。チタンナノ構造をフル活用し、世界で初めて「レーザーを使わない光ピンセットの開発」が出来た。当初の予想を超える成果である。 3)蛍光カラーのフルカラー制御: 既述のとおりである。シリコンナノ構造をフルに活用し、鮮やかな光化学応が出来た。当初の予想を超える成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
光によって微小な物質・物体の運動を制御し、空間的に操作する「光マニピュレーション」は非常に魅力的な研究分野である。事実、原子の操作を可能にした「レーザー冷却」、そして光学顕微鏡で見えるミクロンサイズの細胞などを操る「光ピンセット」に対して、それぞれノーベル賞が授与されている。つまり、光マニピュレーションは二度のノーベル賞に輝く、稀有な学塾分野なのだ。一方で、原子とマイクロ粒子の間に存在するバラエティに富む物質群、つまり分子、分子集合体、クラスター、高分子、量子ドット(半導体ナノ結晶)、蛋白質などの生体物質はナノサイズであり、光で操ることが困難であった。本研究はこの問題に斬りこんだものである。私たちが開発した手法を発展させれば、これらナノ物質を自在に操ることが可能になり、「光マニピュレーション物質科学」という新しい分野が誕生するかもしれない。それは、化学や生命科学、材料科学に新しい地平性を見せてくれるかもしれない。これが今後の展開と言うか、私の夢である。 これらを踏まえ、今後の推進方策として以下を考えている。 1)現在、徳島県にある精密機器開発を生業とするベンチャー企業と、レーザー微細加工機に関する共同研究を進めており、本装置のパッケージングも共同で進める計画である。 2)「半導体ナノ構造に光電場増強」は、非常に新しい学術分野であり、分光シグナルの増強が広島大のグループにより報告されている。光圧への応用は本課題により高い可能性が示された。この機構はいまだ不明であり、ケーススタディーも少ない。応用の汎用性を示し、機構の解明(ミー共鳴など)を目指す。 3)相界面光間にマニピュレーションの化学応用の可能性を探る。DNAのマイクロ分離やナノダイヤモンドの油水界面捕捉、蛍光カラー制御などが出来たが、もっともっと可能性があると思う。それを探っていきたい。
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[Journal Article] Incoherent Optical Tweezers on Black Titanium2021
Author(s)
Hashimoto Sayaka、Uenobo Yuki、Takao Ryota、Yuyama Ken-ichi、Shoji Tatsuya、Linklater Denver P.、Ivanova Elena、Juodkazis Saulius、Kameyama Tatsuya、Torimoto Tsukasa、Tsuboi Yasuyuki
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Journal Title
ACS Applied Materials & Interfaces
Volume: 13
Pages: 27586~27593
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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