2020 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドが実現する細胞・ナノ材料界面における信号伝達の機構解明
Project/Area Number |
20H02564
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
早水 裕平 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (80443216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金蔵 孝介 東京医科大学, 医学部, 講師 (10508568)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ペプチド / 自己組織化 / ナノシート |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元ナノ材料である二硫化モリブデン(MoS2)は、単層で直接型半導体であり、そのナノシートを使用した高感度バイオセンサへの応用が研究されてきた。これまで、ウイルスや抗原抗体反応など分子間の相互作用を検出するトランジスタ型のバイオセンサが実現されてきたが、より大きな対象である培養条件下の細胞活動をナノシートを用いてリアルタイムでセンシングした報告はない。本研究は、細胞と密に接着可能なナノシート表面の制御を可能とし、細胞からナノシートへの電子信号伝達機構の解明を目的とする。当該年度は、ナノシート表面で秩序構造を形成する自己組織化ペプチド膜を利用し、安定な細胞接着を実現するため、細胞接着機能を有するペプチドとナノシートへの自己組織化を可能とするペプチドを結合した新たなペプチドを設計・合成した。これらのペプチドが実際にナノシート表面で規則正しい規則構造を自己組織化的に形成するかを表面プローブ顕微鏡を用いて評価し、いくつかのペプチドが緻密な単分子膜を形成することを明らかにした。また、これらのペプチドがMoS2ナノシートの表面に自己組織化することによって、ナノシートの電子状態が変調されることを発光スペクトルおよびイメージングから明らかにした。さらに、これらのMoS2発光を実際の細胞が存在する環境に近いバッファー溶液中で観察するための実験系の構築を行い、発光のその場観測を可能とするために、溶液のpHやイオン濃度に対して、MoS2発光がどのように影響を受けるか検討を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響から研究室での実験ができない期間があり、研究の進捗はやや遅れている。とくに細胞を使用した研究では長時間の実験時間が必要となるため、これらの実験では予備実験が進捗していない状態である。一方で、ペプチド自己組織化の評価やナノシートの物性評価においては物理化学的実験で実験時間を調整しやすいため、こちらはコロナ禍の影響を受けずに研究を進められている。よって、次年度以降に予定していた実験系の構築の計画の一部を本年度は前倒しで行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている細胞接着の実験を進める。マウス由来の細胞では、比較的実験が短時間で行えるため、こられの細胞を使用して研究の進捗を図る。
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Research Products
(3 results)