2020 Fiscal Year Annual Research Report
溶液プロセスによる原子層物質のトポロジカル状態発現と巨視的制御
Project/Area Number |
20H02574
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
桐谷 乃輔 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80568030)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / 原子層物質 / 分子処理 / 溶液プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、トポロジカルに保護された物質群が見出され、擾乱に強い量子ビットを実現するための基材として注目されている。この物質群を利用できれば、スピン流を磁場の印加なしに制御できるデバイス実現の可能性があり、磁場印加のため大がかりな機器(超伝導回路など)を必要としないシステムの創出が期待される。しかし、稀有なトポロジカル物質「そのもの」を如何に作製するのか、物質プラットフォームに大きな課題がある。我々は、潜在的に「トポロジカル相を示すと予測されている物質」を「変換して」トポロジカル物質に変えてしまおう、と考えている。特に、溶液化学を駆使して、「安定に」「大面積で」「任意の位置に」「必要な形、数で」トポロジカル相へと変換し、将来の万能量子コンピュータの物質プラットフォームを創るための研究を進めている。 本年度は、対象となる原子層物質として、単層および多層の遷移金属カルコゲナイド結晶(TMDC結晶)に対して、トポロジカル絶縁体相を定量的に発現させることを意図し、分子処理方法の検討・検証を行った。検証方法として、顕微鏡ラマン分光法を用い、極薄(1 nm-10 nm厚)の結晶性サンプルの相状態について、通常の物質相であるのか、トポロジカル絶縁体に由来する相であるのか、その詳細を調べた。多様な分子処理方法を検証した結果、トポロジカル絶縁体相の発現を示唆するシグナルを得ることに成功した。従って、我々が研究対象としている、分子処理の有効性が確認されつつある状況である。また、状態を確認するための低温測定設備として、プローブステーションを立ち上げ、その動作検証および、利用環境を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定量的に物質相を発現する方法論を確立しつつある。また、低温計測装置の導入および立ち上げを行なった。これらは当初予定していた通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジカル絶縁体相を示唆する結果が得られたが、それをさらに検証する必要がある。例えば、単層結晶面内において、均一な発現が起きているのかを検証する必要がある。また、多層の結晶に対しては、第一層と第二層以下を分けて状態を検証する必要があり、各層における相の関係性を明らかにしたいと考えている。つまり、全てのバルク層がトポロジカル絶縁体相になっているのか、否か、という点についての検証を行い、今後のデバイス測定に向けたサンプル調整方法の基盤を確立したいと考えている。 および、低温測定を実施する。低温において、単にトポロジカル絶縁体に由来する一定の抵抗値(量子化抵抗値)を観測するのみならず、本物質特有の界面に溜まった電子状態が示す創発的現象についても検証を進める。
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[Presentation] 2次元半導体トランジスタによる夾雑溶液内DMF分子センサの開発2020
Author(s)
福井 暁人, 尾上 弘晃, 板井 駿, 石倉 恵子, 池野 豪一, 長田 貴弘, 土方 優, Jenny Pirillo , 吉村 武 ,芦田 淳, 藤村 紀文, 桐谷 乃輔
Organizer
化学とマイクロ・ナノシステム学会第42回研究会
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[Presentation] 半導体トランジスタとマイクロ流体デバイスの融合による夾雑下における細胞毒分子計測2020
Author(s)
福井 暁人, 尾上 弘晃, 板井 駿, 石倉 恵子,池野 豪一, 長田 貴弘, 土方 優, Jenny Pirillo, 吉村 武, 芦田 淳, 藤村 紀文, 桐谷 乃輔
Organizer
第7回サイボウニクス研究会
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[Presentation] 夾雑溶液下における2次元半導体MoS2とアミド系分子間の特異的相互作用2020
Author(s)
福井暁人, 尾上弘晃, 板井駿, 石倉恵子, 池野豪一, 長田貴弘, 土方優, Jenny Pirillo, 吉村武, 芦田淳, 藤村紀文, 桐谷乃輔
Organizer
日本化学会 第101春季年会
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