2022 Fiscal Year Annual Research Report
Reversible encapsulation of exosomes for single particle analysis
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20H02581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江島 広貴 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00724543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重藤 真介 関西学院大学, 理学部, 教授 (10756696)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 金属-ポリフェノール錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソームは様々な細胞が分泌する直径30-150nm程度の細胞外小胞である。細胞から細胞へ物質を運ぶ天然のナノキャリアであり、薬物送達キャリアや体液診断におけるマーカーとしての医療応用が期待されている。しかし、エクソソームは脂質二重膜からなる不安定かつ極小サイズの粒子であるため、その取り扱いや保存が難しい。例えば、内包物の漏出、脂質二重膜の融合や脂質分子の交換、プラスチック容器表面への吸着による変性等が頻繁に起こる。また、エクソソームの状態を単一粒子レベルで精度よく検査するための高感度な分析手法が不足している。そのため主にエクソソーム混合物の総和を対象とした分析データに基づいて研究がなされており、個々の粒子の情報は平均化され埋没している。そこで本研究では、エクソソーム単一粒子を被包化して安定化する技術を開発し、この被膜に信号増強能を持たせることで、単一粒子解析手法へと展開する。 第三年度である令和4年度はこれまでに確立した金属-ポリフェノール錯体によって被覆されたエクソソームの脱被覆条件について検討した。10 mMの分解誘発剤存在下、異なるpHの条件で金属-ポリフェノール錯体を分解した。金属-ポリフェノール錯体が分解されることで遊離する鉄イオンを誘導結合プラズマ質量分析法で検出することで、分解曲線をプロットした。またリアルタイムPCRによって被覆-脱被覆のプロセスがエクソソームに内包されているメッセンジャーRNAに対してダメージを与えないことを確認した。さらに細胞遊走アッセイの結果、被覆-脱被覆のプロセスを経たエクソソームは、元のエクソソームと同様の生理活性を保持していることがわかった。このことから、エクソソームの生理活性を変化させずに金属-ポリフェノール錯体によって可逆的に表面を被覆できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、金属-ポリフェノール錯体によるエクソソームの被覆は可逆的であることを示すことができた。そのため「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は金属-ポリフェノール錯体によって被覆したエクソソームの安定性を調査する。さらに金ナノ粒子をその場還元によって表面に形成させたエクソソーム単一粒子からラマンスペクトルを取得し解析する。
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