2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H02590
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柏木 隆成 筑波大学, 数理物質系, 講師 (40381644)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 高温超伝導体 / テラヘルツ波 / 固有ジョセフソン接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
非破壊検査,次世代大容量通信,医療診断などの幅広い分野で,テラヘルツ(THz)波は,今後利用が拡大することが期待されている。このTHz波技術を用いた「次世代産業の創出と豊かな電波社会」の実現のために,我々は連続発振が可能な小型THz波発振器の開発を進めている。THz波の幅広い利用には発振性能として「1~2 THzで,1 mWの出力及び1 kHzの発振線幅」程度が求められる。我々は,これを高温超伝導体 Bi2Sr2CaCu2O8+δ(Bi2212)単結晶を用いて実現することを目指している。 我々が開発を進めるBi2212-THz波発振器の特筆すべき点は,Bi2212単結晶に内在するジョセフソン接合を利用することで,0.1 ~ 15 THzまでを 1つの発振器で原理的に発生できる点である。本研究では,この性質を利用しつつ,上述のTHz波の幅広い利用に要求される発振性能の達成を,Bi2212単結晶材料の最適化や発振素子構造の改良から行う。
上記目標の達成に向け,(1) 1 mWレベルの発振出力の実現, (2) 1 kHzレベルの発振線幅の実現, (3)共同研究を通じたBi2212-THz発振器の利用先の開拓,の3つを主課題として現在研究を進めており,本年度は以下の内容を実施した。 (1)に関しては,Bi2212単結晶材料の観点から評価を進めた。組成比や熱処理でキャリア数などを調整した結晶材料を準備し,それらの材料特性及びデバイス特性を評価し,材料と発振特性に関する基礎的な情報を得た。(2)に関しては,(1)とも関係するが,発振素子のアレイ化に関する検証を進めた。現時点では,アレイ素子の製作方法に関してある程度の進展を得た。(3)に関しては,企業とのコラボレーションを通じて,小型冷凍機を用いたBi2212-THz発振器の開発に取り組んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,当初の研究計画に沿って概ね順調に進めることができたと考えている。特に材料特性とデバイス特性の関係について,これまではあまり意識されていなかった点などに関して興味深い情報が得られた。ただいくつかの点で(例えば共同研究を通じた活動),当初計画よりも若干遅れている点があるので,その点を次年度で適宜対応し,研究目標の達成を目指す。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述した主な3つの課題に関して,本年度得られた成果を基盤にし当初計画を適宜修正しつつ研究を進める。特に,コロナウィルスの影響などにより共同研究・実験に制限がある場合は,他の研究項目を優先するなどして,テーマごとの取り組む時期を適宜調整して対応する。
|
Research Products
(23 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Design and characterization of single crystalline Bi-2223 mesas towards the observation of coherent terahertz radiation emitted from trilayer intrinsic Josephson junctions2021
Author(s)
Kanae Nagayama, Genki Kuwano, Shohei Suzuki, Takuya Yuhara, Shinji Kusunose, Takanari Kashiwagi, Hidetoshi Minami, Kazuo Kadowaki, Shintaro Adachi, Shunpei Yamaguchi, Takao Watanabe, Manabu Tsujimoto
Organizer
APS March meeting 2021
Int'l Joint Research
-
-
-
-
[Presentation] Bi-Sr比とPb置換量を制御したBi2212単結晶の超伝導転移温度のホール濃度依存性2020
Author(s)
中川駿吾, 柏木隆成, 中山繭, 金正赫, 辻本学, 中尾裕則, 石田茂之, 永崎洋, 長谷川幸雄, 木村尚次郎, 茂筑高士, 門脇和男
Organizer
日本物理学会2020年秋季大会
-
[Presentation] テラヘルツ時間領域分光法を用いたLi0.25Na0.25K0.25Cs0.25PO3ガラスのボゾンピークに関する研究2020
Author(s)
金正赫, 森龍也, 稲葉誠二, 柏木隆成, 藤井康裕, 気谷卓, 川路均, 是枝聡肇, Soo Han Oh, Jae-Hyeon Ko, 小島誠治
Organizer
日本物理学会2020年秋季大会
-
-
-
-
-
-
-