2020 Fiscal Year Annual Research Report
Fabrication of Cooperative Multiple Plasmonic Structures Using Metal Nanoparticle-Grating and Their Organic Photo-electronic device Applications
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20H02601
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
馬場 暁 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80452077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
L CHUTIPARN 新潟大学, 自然科学系, 助教 (90769316)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 表面プラズモン / 金量子ドット / 有機太陽電池 / センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、著しい光電場増強現象が得られる金属微粒子からなるナノ格子構造に金量子ドットを加えた、局在プラズモン・伝搬プラズモン・量子効果が協働するプラズモニック光電場増強システムを創出し、理論的にメカニズムを解明した上で高効率・高感度な新規有機光・電子デバイスの提案を行うことを目的としている。 この目的に対して、今年度は金属グレーティング上に励起する伝搬型表面プラズモンの電界内に金量子ドットを配置することによる、伝搬型表面プラズモン-量子効果の相乗作用についての検討を行った。その結果、金量子ドットからの発光強度は伝搬型表面プラズモン励起により13倍も増強されることが明らかになった。さらに、この系を逆型有機太陽電池に組み込んだ場合のデバイス特性向上についての評価を行った。その結果、金量子ドット、グレーティングの無い標準デバイスの変換効率を16%向上できることが分かった。 他にも、数種類の金属微粒子を混合して局在プラズモン励起の波長域を広げることで、光吸収量の増大を図った有機太陽電池の作製も行った。この場合も、太陽電池の効率を標準デバイスに対して約8%向上させることが可能となった。 また、金量子ドットを伝搬型表面プラズモン増強電界内に置くことで得られる発光増強特性を利用したセンサ応用も行った。この系にさらに銀ナノプリズムを用いることで、金量子ドットから銀ナノプリズムへのエネルギー移動による発光のクエンチング特性についても検討し、過酸化水素が濃度に応じて銀ナノプリズムの形状を変化させることを利用したセンサ応用を行い高感度化に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度の研究計画である(1)電界増強現象の起源解明、(2)センサへの応用、について上記のように実験を進め、金量子ドット-プラズモニック複合系による電界増強についての知見を得ることができ、有機太陽電池への応用において増強光電場によりフォトキャリアを増やすことで高効率化に成功した。また、・過酸化水素へのセンサ応用を行うことで高感度化にも成功した。さらに、数種類の金属微粒子を混合して局在プラズモン励起の波長域を広げることで、光吸収量の増大を図った有機太陽電池の作成も行った。この場合も、太陽電池の効率を標準デバイスに対して約8%向上させることが可能となった。これらの成果を基に、局在プラズモン効果も加えたデバイス応用やセンシング特性向上についての実験を進めていく予定である。 以上のように、計画の(1)(2)を実施してそれぞれ成果が得られており、概ね当初の計画通り達成できた。これらの結果は、すでに学会での発表や論文誌での報告なども行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度はこれまでに得られた研究をさらにすすめ、プラズモニックナノ構造の色素増感光電気化学センサへの応用・高感度化について、ナノ構造を基にデバイス設計を検討する。すなわち、検出物質のバッファ溶液への注入により得られる光照射色素増感電流を、金量子ドット-プラズモニック複合系による増強光電場によりフォトキャリアを増やし、センシング時の光電流を増大することで高感度センサの開発に結び付ける。電極からの色素の配置距離、膜厚などの設計はシミュレーション結果をフィードバックして最適化する。また、金属微粒子プラズモニックナノ構造の有機太陽電池へのさらなる応用を行う。そのため、金属微粒子プラズモニックナノ構造上に直接光電変換層を堆積できる有機太陽電池構造についてプラズモニック効果の検討を行う。金量子ドットによるエネルギー移動効果や、紫外光から近赤外域への変換による有機層の可視光吸収フォトキャリア増加、プラズモン光電場変化など、波長毎の光電変換構造や室内光下での最適化を行い高効率デバイスの開発に結び付ける。 また、得られた成果は国内・国外の学会で報告を行うことにより公表し、国際論文誌での誌上発表も積極的に行う。
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