2020 Fiscal Year Annual Research Report
高速中性子イメージングに向けた有機結晶シンチレータの包括的な研究
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20H02634
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山路 晃広 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (20779722)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 結晶成長 / 中性子 / 有機結晶 / シンチレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は中性子検出用途の有機シンチレータ結晶の研究開発を目的としている。有機シンチレータ結晶の発光をつかさどるπ結合を含み、π電子回りの結晶場(配位子場)の系統的な変化をみるために、母材の一部を置換した混合結晶も含め候補材料の結晶育成及びそのシンチレーション特性評価を進めた。本年度は、古典的な有機シンチレータ結晶であるアントラセンの異性体であるフェナントレンに着目し、その構造の違いと発光特性の関係性について検討した。特にシンチレーション寿命特性に差が現れた。他にも、アントラセンをフェニル基で置換した9-フェニルアントラセン、9,10-ジフェニルアントラセンについても研究を実施した。 結晶育成手法としては、Self-seeding vertical Bridgeman (SSVB)法を用いて行い、温度勾配、育成速度、アンプル形状等の育成条件を最適化した。この結果、劈開性を示す候補材料でもクラックの少ない透明なバルク体結晶の育成に成功している。育成結晶を結晶性評価のためにロッキンカーブを測定したところ、その半値全幅は40 arcsec程度であった。また、フェナントレンのバルク結晶のシンチレーション寿命は中性子源Cf-252を用いた中性子線励起の場合、7.3 nsとアントラセン(~31ns)より高速であることを確認した。有機結晶では、中性子励起でのシングルフォトンカウンティングによる発光量評価は困難であるため、γ線励起時のコンプトンエッジを比較した。フェナントレンはアントラセンと同程度の発光量を示すことが分かった。他の候補材料も順次、結晶育成を行い、その発光特性等を評価し、系統的に研究が進められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナウィルスの影響により、実験場所への立ち入りが制限されたため結晶育成及び評価実験に遅延が生じた他、当初予定していた外部実験が中止になった。立ち入り制限が緩和された後は、検討していた候補材料である有機結晶を順次育成し、その特性評価を行うことができ、予定していた実験計画を遅ればせながら遂行することができた。有望な特性を示した材料については、論文化も行うことができた。本年度予定していた、有望な特性を示した材料の大口径化については育成の準備段階まで完了しており、来年度に改めて育成実験を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き候補材料の結晶育成及びそのシンチレーション特性評価を進める。特に組成分析に関しては、微量の不純物の解析にNMRを用いる予定である。また、本年度に完遂できなかった結晶の大口径化に関して育成実験を行い、1インチ程度の結晶を育成し、イメージング試験に向けた結晶のアレイ化を行う。これらの結晶を用いて、中性子とバックグラウンドノイズとなりうるγ線による信号の波形弁別も行う。実用上に必要となりうる放射線耐性を調査するために外部施設での中性子耐性実験も検討している。
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Research Products
(3 results)