2021 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between 2D-nucleation and long crystal growth in solution growth of SiC without molten silicon.
Project/Area Number |
20H02637
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
太子 敏則 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (90397307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 孝臣 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (20196835)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炭化ケイ素 / 溶液成長 / 金属溶媒 / 長尺成長 / 接触角 / 平坦成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、炭化ケイ素(SiC)の溶液からの結晶成長において、Siを含まないCrなどの金属溶媒にSiCセラミックスを溶解させ、再結晶により結晶成長を行うものである。3年間の研究期間中に、SiCと溶媒間の接触角、表面張力を実測し、界面エネルギーを算出することで、二次元核を形成しにくい溶媒および結晶成長条件を検討する。そのうえで、長さ10mmの4H-SiC結晶成長を目標とし、長時間安定で平滑表面となるSiC溶液成長の実現の可否について模索する。 2年目の令和3年度は、令和2年度に構築した赤外線ゴールドイメージ炉内のその場観察装置を使って、1500~1800℃の範囲における金属溶媒とSiC基板間の接触角の測定を行った。金属のCr、Al、Si、Coにおいて測定を行い、どの金属も温度上昇に対して接触角が低下する傾向がみられた。また、Crの接触角が15~20°であったことに対して、AlやCoでは45~50°であり、これらの溶媒により二次元核形成エネルギーが大きくなり、より平坦な結晶が得られることが予想された。この結果を受けて、Cr溶媒に数4%までのCoを添加してSiCセラミックスを溶解させて結晶成長を行った結果、ステップが小さい、表面の荒れの少ないSiC結晶の成長を実現した。 一方、長尺結晶成長のために、炉内の温度分布および対流分布を数値解析ソフトウェア「CGSim」により予測し、結晶回転が対流および結晶成長に影響を与えることを見出した。その結果を受けてCr単独溶媒を用いて結晶育成を行った結果、この方法で初めて厚さ1mmを超える4H-SiC結晶を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属溶媒の種類として、Crをベースとして、それに加える金属の候補となるAlやCoについてのSiC基板との間の接触角を測定し、接触角が大きくなる方向を見出せたこと、それにより二次元核形成エネルギーが低下し、平坦な成長表面が得られたことが理由としてあげられる。 また、今後の長尺化に向けての結晶成長条件を数値解析により予測し、実験でこの方法で最長となる厚さ1mmを超えるSiC結晶成長に成功していることから、当初計画した予定通りに研究が進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の令和4年度は、令和3年度までの進捗を踏まえて、溶媒をCr主体でCoの添加量を増やし、最終的にはCoが100%の溶媒でのSiC結晶成長を行い、Coベースでの結晶成長にも挑戦する。また、ベースとなるCrに代わりえる溶媒の探索も引き続き行う。具体的には、Fe、Ni、Tiなどを検討しており、SiC基板との間の接触角測定のその場観察を行う。 また、令和3年度に1mmの長尺化に成功した条件下で、CrにCoを加えた溶媒からの結晶成長を行い、より平坦な成長表面での長尺化を目指す。数値解析は引き続き行い、結晶成長条件探索の参考とする。 最終的に、当初の計画に近い長さ10mmのSiC結晶成長が実現できるよう、研究を行う計画である。それが難しい場合には、長尺結晶成長が難しい理由を明確にし、来年度以降の研究申請の参考にしたいと考えている。
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Research Products
(6 results)