2020 Fiscal Year Annual Research Report
Nondestructive measurement of crystal defects using multiphoton excitation photoluminescence
Project/Area Number |
20H02640
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷川 智之 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (90633537)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 次世代半導体 / 多光子励起フォトルミネッセンス / 転位 / 積層欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
AlNやGaN、SiC、および、Ga2O3などの次世代半導体材料は、転位などの結晶欠陥が多数含まれており、デバイス特性に大きな影響を与える。次世代半導体材料のデバイス開発では結晶欠陥とデバイス特性との相関を理解したうえで、欠陥の密度や分布を制御することが重要である。本研究では、次世代半導体の深部の全体的な転位構造を三次元的に可視化することが可能な多光子励起フォトルミネッセンス法を用いた結晶欠陥の非破壊解析技術の確立と、未踏である紫外材料の欠陥観察、多様な物性定数の深部観察、革新的な欠陥制御方法の検証を目的とする。 令和2年度は、結晶欠陥の非破壊解析技術の確立に向けて、GaN基板とSiC基板の結晶欠陥の観察技術と分類・識別技術について検討した。GaN基板では、バンド端近傍発光において貫通転位が非輻射再結合の性質を示し、暗線として三次元像が得られた。暗線の濃淡や形状に一定の特徴を有することから分類・識別の指標になると考え、エッチピット法を併用して転位種の分類・識別を行った。エッチピットは転位のバーガースベクトルbによってその大きさが異なる。また、b=1cの螺旋転位とb=1a+1cの混合転位はピットの形状が異なることが報告されている。これらの違いから転位を5種類に分類することができた。エッチピットから直下の暗線を多光子励起PL法で観察したところ、暗線の濃淡を基にb=1cの螺旋転位を識別でき、暗線の結晶c軸からの傾斜角を基にb=1a+1cの混合転位を識別できることが分かった。これらを指標として暗線を統計的に分類し密度を算出したところ、エッチピット法と良い一致を示した。また、SiC基板では貫通転位や基底面転位はバンド端近傍発光で暗線として観察され、長波長の赤外域で明線として観察されることが分かった。積層欠陥は波長400~500 nm付近で明面として観察されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、令和2年度は結晶欠陥の深部観察と解析を目的とし、GaNとSiCを対象として観察と解析を実施した。結果として、GaNの結晶欠陥を暗線の濃淡や形状を指標として識別可能であることを示し、SiCの結晶欠陥について、検出波長を指標として識別可能であることを示し、十分な成果が得られた。GaNの解析結果についてAPEXに掲載された。また、令和4年度に実施予定の欠陥低減技術の研究に必要な有機金属気相成長装置の設備を2020年9月までに導入することができ、2020年10月から結晶成長の研究を開始することができた。2021年4月時点においてGaN単結晶薄膜のヘテロエピタキシャル成長からInGaN LED構造まで成長可能となったことから、転位制御技術からデバイス動作検証までに必要とする結晶成長の要素技術を構築することができた。令和3年度は紫外材料の評価を実施予定だが、前倒しで共同研究者からGa2O3やCaF2などのワイドギャップ材料を提供いただいており、予備検討は既に着手している。 以上の状況を鑑みて、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は以下の二項目について研究を推進する。 (1) 紫外材料の深部観察を行うための光学系の確立:AlGaNやGa2O3などバンドギャップエネルギーが極めて大きな材料の多光子励起PL測定では、励起光源の赤外波長から発光波長の紫外波長まで考慮した光学設計が必要になる。このような広い波長範囲の色収差や透過率を担保する対物レンズは存在せず、既存の光学系では測定が難しい。そこで、材料の透明性を活用した新たな測定方法を構築する。試料の上側に対物レンズを設置し、裏面側に光学ミラーを設置する。上側から励起光を照射し、試料から放射された紫外光は試料裏面側から取り出し、励起光を除去したのちに検出する。 (2) 多様な物理量の深部計測の可能性検証と原理構築:間接遷移型の材料や発光効率の低い材料の深部観察を行うためには、発光以外の物理量の計測が望ましい。そこで、あらゆる物理量を計測するための測定系を新たに構築する。先行研究で実施している多光子励起PL光学系に加え、深部の歪場を検出するハイパーラマン散乱光学系や、フォノン場を検出する光音響測定系を構築する。まずは固定位置で検出を実証し、三次元走査に取り組む。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Multiphoton Microscopy2020
Author(s)
Tanikawa Tomoyuki
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Journal Title
Characterization of Defects and Deep Levels for GaN Power Devices, edited by Tetsuo Narita and Tetsu Kachi [AIP Publishing (online), Melville, New York, 2020]
Volume: -
Pages: 1~22
DOI
Peer Reviewed
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