2022 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー誘起バブルを用いた特殊加工基盤の構築および脳回路の機能解析
Project/Area Number |
20H02646
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
花田 修賢 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (20435671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 勝也 弘前大学, 医学研究科, 特任教授 (40241666)
田邉 里枝 福岡工業大学, 工学部, 教授 (70432101)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レーザー誘起バブル / ポンプ・プローブ撮影 / ラマン分光 / 3次元加工 / PDMS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、開発を行ったmicroFLIB(microFabrication using Laser-Induced Bubble)による硬化前の液状PDMSに形成したレーザー誘起バブルのpump-probe観察実験を行った。昨年度の結果から、液状PDMSの粘度を変化させることで、単一バブルの挙動が時間に応じて変化することが明らかになったわけだが、これらの挙動メカニズム解明を進めてきた。 実験では、ラマン分光計測により、バブル内気体成分を計測した。その結果、microFLIBにおけるバブルの形成には、液状PDMSに溶け込んでいる溶存気体が大きく寄与していることが明らかになった。この結果は、バブルが形成されてから「一定時間経った後」の計測結果であり、バブルのpump-probe観察実験結果から、時間に応じてバブル内外では気体の流出入があるのでは、現状では推測している。
また、研究分担者が有する高速撮影観察技術を用いたmicroFLIBの際に飛散する蛍光焼結体微粒子の挙動解析については、昨年度に比べ、より鮮明な蛍光微粒子の挙動観察実験を行うことが可能になった。その結果、蛍光微粒子は、生成したバブル周辺を覆うように分散する、ことが明らかにした。また、本結果により、microFLIBでは、バブル形状を維持する過程において、熱架橋により硬化したPDMS薄膜が形成される、という当初の推測を裏付ける結果が得られた。
更に、これまでの加工結果をもとに、本年度は、microFLIBを応用したPDMS基板内部への3次元微細加工技術を確立し、基板内部へのコの字型中空構造作製に成功した。その結果、microFLIBでは汎用ナノ秒レーザーを使用してもPDMS基板内部への3次元加工が可能であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
microFLIBにおけるレーザー誘起バブルのpump-probe観察を行い、バブルの経時変化を測定したところ、液状PDMSの粘度や材料のその他調整条件により、バブルが特異な挙動を示すことが明らかになった。バブルの形状制御は、microFLIB加工に直結することから、ラマン分光によるバブル内気体の同定を行った所、液状PDMSの溶存気体が主な成分であることが明らかになった。 更に、研究分担者による蛍光微粒子の高速かつ鮮明な観察実験により、microLFIBでは、アブレーションにより飛散した微粒子がバブルを覆う形で分布することが明らかになった。これらの結果は、バブル内気体を制御する、或いは当初より推測していたmicroFLIBの際に形成されるであろうPDMS薄膜の制御が、更なるmicroFLIB加工の進展につながること示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
加工メカニズムの解明では、引き続きpump-probe観察で得られた結果をもとに、時間に応じたバブル形状変化の機序について調査を行っていく予定である。現状では、バブル内気体の時間分解計測は困難であるが、文献調査や液状PDMSの調整条件等を変化させることで、検討を行っていく予定である。また、バブル周辺を覆うであろうPDMS薄膜の制御についても検討を行う。 研究分担者による蛍光微粒子の挙動観察については、時間に応じた微粒子の挙動について、その詳細を検討する予定である。また、microFLIBによる3次元微細加工技術が確立したことを受け、PDMS基板内部へのバイオチップ作製について検討を行い、作製したバイオチップが機能するかどうか検証する予定である。
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