2022 Fiscal Year Annual Research Report
振動分光イノベーションへ向けた中赤外極短パルスコム光源の開発
Project/Area Number |
20H02651
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芦原 聡 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10302621)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超短パルスレーザー / 中赤外波長域 / 光周波数コム / 振動分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
中赤外域は『分子の指紋領域』と呼ばれるように分子振動の共鳴線の宝庫である。そのため,分子の構造解析・同定・定量分析において最も重要な波長域といえる。ところが、これまで赤外分光法に用いられてきた熱光源は、広いスペクトルをもつ反面、指向性・収束性に乏しいため、微量分子の高感度検出や顕微計測など、近年高まる期待には応えられないでいる。この現状を打破すべく、本研究では、中赤外域で広いスペクトル・精密な周波数確度・短い時間幅・優れた空間コヒーレンスを有する中赤外モード動機光源を開発することを目的とした。 最終年度となる本年度は、計画初年度および二年度に開発したCr:ZnSモード同期レーザーの広帯域性と高輝度性を生かした振動分光システムを開発した[Optics Express Vol. 30(21), pp. 38674-38683 (2022)]。従来の吸収分光法では、測定対象分子の濃度を光透過率の減少割合から計測していたが、光源のパワーによらず検出器の雑音レベルによって計測感度が制限されていた。本研究では、干渉系を使って入射光を消去することにより、逆に分子が吸収した光を正の光出力として検知し、光源パワーに比例して信号を増強できるシステムを開発した。これにより、僅か1ミリ秒という短時間で、市販のフーリエ変換型赤外分光装置を大きく凌駕する検出感度を達成した。 また、分子振動の共鳴吸収を活用してモード同期レーザーのスペクトル構造を精密に制御する手法を考案し、原理実証に成功した[Optics Letters Vol. 47(23), pp. 6077-6080 (2022)]。具体的には、レーザー共振器の中にガスセルを挿入することで、分子の吸収線で鋭いスペクトルピークをもつモード同期発振を実現した。挿入したガス分子の吸収スペクトルを忠実に反映した櫛状構造であり、新しい応用展開が期待される。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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