2020 Fiscal Year Annual Research Report
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20H02652
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
堀切 智之 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40530275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
洪 鋒雷 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (10260217)
中村 一平 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 戦略的研究シーズ育成プロジェクト, 研究員(任期有) (10758949)
吉井 一倫 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 特任准教授 (90582627)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 量子通信 / 量子メモリ / 量子もつれ / 量子インターネット |
Outline of Annual Research Achievements |
20年度は、リモート量子デバイス接続に向けて、各要素の開発・接続を実施した。共振器量子光源に関しては、通信波長縮退および非縮退の2種を開発し、量子メモリとの結合をとれる最適な信号レートを達成できる条件を探った。 量子メモリは、Pr:YSOを用いた確定時間メモリ機能開発において単一光子の保存再生信号を観測し、固定時間メモリをもちいた量子中継へ用いることができる性能を獲得した。 また、リモート量子デバイスであるメモリと光源をつなぐためには、メモリの狭い遷移幅に対して長期の安定接続を可能にする必要がある。そのために、量子光源励起レーザー、メモリ制御レーザー、そして通信波長量子光源をメモリ波長に変換する励起レーザーの各々に周波数安定化を施した。3種の波長を安定化する方法だが、GPS信号に安定化された光コムを基準として、そのコムに対してのロックを施す手法を用いた。光コムは通信波長周辺において動作するErファイバーコムであり、メモリ波長606nm近辺には届かないが、メモリ制御レーザーの基本波である1200nm光を取り出しコムとの安定化に用いた。 メモリ領域のおよそ4MHzよりも狭い領域に安定化する安定度が必要であるが、本研究により100kHzよりも良い安定度を各波長で達成できた。 達成した各波長における安定化システムをもちいて、通信波長光をメモリ波長に変換後メモリに結合する実験を実施し、単一光子レベルの信号でも確定時間メモリ信号を再生することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、20年度は超狭線幅量子光源開発および量子メモリ開発の前半を実施する予定であった。しかしながら、量子メモリの確定時間機能が順調に進んだため、量子光源と量子メモリの短距離接続実験に早期に取り組むことにした。その結果、上記概要でも述べたように、量子光源に見立てた通信波長光(単一光子信号)の光ファイバ伝送後、確定時間メモリとの接続に成功した。通信波長光は量子光源の励起レーザーであり、同一の波長をもつことから、最終的な量子光源とメモリ接続に向けた接続手法において共通である。したがって非常に順調な進捗をしていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果を踏まえて、量子光源と量子メモリのリモート接続にさらに必要なのは、量子光源の高輝度化およびノイズ低減である。波長変換時には変換励起レーザーによるノイズが発生するので、量子メモリの狭遷移幅に高い輝度をもつこと(信号最大化)および、フィルタ機能によるノイズ除去(ノイズ最小化)を実施することが求められる。前者は上記2種の光源を最適化することで実施、後者は量子メモリ同様のPr:YSOの不均一幅を用いたメモリ幅以外のフィルタ機能を実装することで対応する。
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Research Products
(7 results)