2022 Fiscal Year Annual Research Report
Electronic Structural Approach to Novel Redox Behavior of Uranium to Explore Chemical Aspects of Nuclear Energy Systems
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20H02663
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鷹尾 康一朗 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00431990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津島 悟 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (80312990)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 錯体化学 / ウラン / 酸化還元反応 / ノンイノセント配位子 / 電子構造論 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウランの酸化還元挙動は原子力化学における重要な共通基盤である。近年配位子自体が酸化還元活性を示す金属錯体が報告されていることから、ウランの酸化還元反応を単なる中心金属の価数変化という古典的概念のみで説明することはもはや限界であり、分子構造と電子状態の相関を扱った電子構造論の導入による詳細な理解を深めることが重要である。本研究では配位子デザイン、錯体合成・構造解析・電気化学測定などの実験と量子化学計算による理論的解析を融合することにより、レドックスアクティブ配位子を持つウラン錯体の酸化還元挙動を電子構造論に基づいて明らかにし、錯体構造中の酸化還元活性部位の決定要因を解明する。令和4年度は、前年度までに得られた成果に基づいてレドックスアクティブ配位子となり得る候補配位子に各種官能基を導入し、それを配位したウラン(VI)錯体の合成を行った。得られた配位子および錯体については、NMR, IR, UV-vis, 元素分析等各種分析手法を用いて同定し、特にウラン(VI)錯体については単結晶X線回折により分子構造を解析するとともにサイクリックボルタンメトリー法を用いてその酸化還元挙動を明らかにした。その結果、配位子骨格への電子求引性もしくは電子供与性官能基の導入により、錯体の酸化還元電位が大きく変化すること、またその変化はハメット則に概ね従うことを確認した。また、密度汎関数法を用いた量子化学計算による錯体構造の最適化および電子状態評価を行い、分子構造の再現性と分子軌道分布から実験結果および考察の妥当性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種配位子やウラン(VI)錯体の合成とキャラクタリゼーションの実験的側面および量子化学計算を用いた理論的アプローチ双方において、当初の予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに得られた研究成果に基づきウランに配位したレドックスアクティブ配位子内の酸化還元活性部位のさらに精緻な制御を目指し、実験および理論の両面から検討を進める。
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Research Products
(8 results)