2020 Fiscal Year Annual Research Report
マルチトレーサ法を用いた129I/127I地下水年代測定法の成立性の検証
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20H02674
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
太田 朋子 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (30373020)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヨウ素129 / 加速器質量分析計 / 地下水年代 / 同位体分別 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヨウ素129は半減期が1570万年の長寿命放射性核種であり、天然起源と人為起源のものがある。ヨウ素129は1000万年以上の滞留時間を持つ深部流体の寄与を証明できる地下水年代測定トレーサーとして有望であるが、他核種による地下水年代とヨウ素129地下水年代は整合性がないものがしばしば見られている。 地下水年代測定の礎となる初期値は、様々な放射性核種を用いた年代測定法でも大きな課題であるが、ヨウ素-129による初期値の評価例は海洋堆積物等の同位体比情報を用いられた手法が一般的である。海洋堆積物中のヨウ素同位体は生物農集される性質があり, 生物農集後に採取したコア等のヨウ素同位体比(ヨウ素-129/ヨウ素-127)が採取時のオリジナルの値を示すかどうか, 判定例がない。さらに、地下水中のヨウ素同位体は生物活動とともに分別を起こす可能性があるのかを検証するため、海水中のヨウ素同位体が藻類に取り込まれる・リリースするまでの過程でフラクショネーションを起こすのかを検討した。藻類からの同位体分別の条件を確認するために、標準植物試料の作成手法の確立を行い、化学形の推定を行ったところ、藻類に近い化学形であることを確かめた。さらに有機体からのヨウ素の揮発率の推定に関する基礎情報を得た。室内試験で得られた試料中のヨウ素同位体を分離・精製し、放射性ヨウ素同位体比を加速器質量分析(AMS)で実測を行い、放射性ヨウ素同位体比が起こっているかどうかを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
室内試験を中心に実施計画をたてたため、概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
核実験後の降水を涵養源とする循環速度の速い石灰岩地帯の地下水より、過去の129I fallout量の検討を行う。 堆積岩地帯の地下水中の129I/127I同位体比情報と地下水年代情報を比較し、129I/127I同位体比の初期値情報を得る。
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