2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Renewable Energy Integration with Mathematical Programming Model considering Electricity and Non-Electricity Sectors
Project/Area Number |
20H02679
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小宮山 涼一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (60537819)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 再生可能エネルギー / 電力システム / 分散型電源 / 調整力 / 電力ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、数理計画モデルにより、再生可能エネルギー大量導入シミュレーションを行い、それを実現するための具体的な再エネ大量導入シナリオを提示することにある。令和2年度は、洋上風力発電や水力発電の出力変動を詳細に考慮した最適電源構成モデルによる再生可能エネルギー大量導入に関する数値シミュレーション分析を主に実施した。現在、内外で関心が高まる洋上風力発電を、その出力変動を1年間8,760時間で考慮し、さらに電力系統を383母線、472本の基幹送電線でモデル化することにより、既往研究には見られない詳細な地理的・時間的解像度での電力システムの数値シミュレーションを実施した。その結果、洋上風力発電の設備利用率は太陽光や陸上風力に比べて高いことから、電力システムにおける再エネ電力比率50%実現の上で、極めて重要な役割を担うことを定量的に分析した。ただし再エネ大量導入時は、分析の結果、卸電力価格が大きく低下することから、火力や原子力の事業性確保が困難になることから、供給力の維持が重要な課題となる示唆を得た。また本研究では、現在普及が進む着床式洋上風力発電に加え、今後の普及が期待される浮体式洋上風力発電を明示的に考慮している点に既往研究にはない独自性がある。さらに水力発電の出水パターンの高時間解像度での考慮、ならびに、電力以外のエネルギー輸送インフラを考慮した新たな最適電源構成モデルを構築し、数値シミュレーション分析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数理計画モデルにより、再生可能エネルギー大量導入シミュレーションを行い、それを実現するための具体的な再エネ大量導入シナリオを、洋上風力発電や水力発電、ならびに、詳細な地理的・時間的解像度にて日本全体の電力ネットワークを考慮して導出できたため、おおむね順調に進展している。またこれらの分析結果を、査読付き原著論文として出版し、得られた知見を広く公表できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、構築した数理モデルにさらに、再生可能エネルギーの余剰電力を活用した合成燃料製造プロセスを明示的に考慮したモデルを構築し、電力部門に加え、熱利用部門を横断的に考慮した数値シミュレーション分析を実施する。 再エネ大量導入を実現するためには、その余剰動力の制御が課題となり、再エネ余剰電力を利用して、水素製造や合成燃料製造を行う技術プロセスを詳細にモデリングする。伝統的な製造プロセスに加えて、炭素供給源として、CO2回収技術、大気中CO2回収技術(DAC; Direct Air Capture)といった革新的技術を考慮し、現在注目されているCCU(Carbon Capture & Utilization)プロセス(メタネーション等)をモデル化することで、カーボン・ニュトラルな合成燃料技術の導入可能性を検討する。
|