2022 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of crystallographic guidelines for material design of microporous crystals as radioactive element removers
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20H02683
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中塚 晃彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80294651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 真紀雄 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (60263670)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロポーラス結晶 / 放射性元素除去剤 / イオン交換 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災による福島第一原発事故で生じた汚染水は、現在でも増え続け、深刻な問題となっている。汚染水に含まれる放射性元素のうち、原発事故による放出量が多く半減期が長いCsとSrを高効率に回収・除去するためのイオン交換剤の探索・開発が切望されている。本申請課題は、高効率な放射性元素除去剤を材料設計する結晶学的指針の構築を目指し、マイクロポーラス結晶である種々のゼオライト化合物や多孔性チタン珪酸塩を取り上げ、Cs・Sr交換特性と細孔内での交換性陽イオン(Cs,Sr)や水分子の結晶学的配置との関係から、交換性陽イオンに作用する原子間相互作用を系統的に調べ、イオン交換特性の支配因子を明らかにすることを目的とする。 今年度は、昨年度までの単結晶X線構造解析で得られたチャバサイトの構造特性に関する議論をさらに深め、以下の条件を満たす場合に優れたイオン交換特性が生じることを提唱した:①細孔の三次元的な接続によってイオン拡散パスネットワークが形成されていること,②交換したイオンを強く優先し、適度な結合力で固定する結晶学的サイトが存在すること,③フレームワーク構造が強固であること。 チャバサイトのSr交換特性についても検討したが、ほとんどSr交換しないことがわかった。その原因は、上記条件のうち②を満足していないためと考えられた。 このほかに、Na-GTS型多孔性チタン珪酸塩についてのCs交換特性も調べ、ほぼ100%のCs交換率をもつことを明らかにし、この化合物は現在報告されているマイクロポーラス結晶の中で最も高効率は放射性Cs除去剤として応用できる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
X線回折実験に使用していた装置の不測の故障により、海外からの修理部品の調達に時間がかかったため、X線回折実験とそのデータに基づいた結晶構造解析の実施が大幅に遅延した。この理由から、本研究課題の現在までの進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後Na-GTS型多孔性チタン珪酸塩やスティルバイトなどを中心に、本研究でまだ取り上げていないマイクロポーラス結晶について、イオン交換特性と構造特性の相関を調べる。
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Research Products
(9 results)