2020 Fiscal Year Annual Research Report
Formulation of formula to estimate soil CO2 gas flux considering climate and weather and its increase rate with global warming
Project/Area Number |
20H02684
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 久郎 九州大学, 工学研究院, 教授 (60178639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 歩美 九州大学, 農学研究院, 助教 (70706845)
大川 浩一 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (00375221)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 土壌 / 温暖化 / 増加率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、土壌CO2ガスフラックス・モニターを用いて、九州大学試験フィールドおよび海外フィールドなどにおいて、表層土壌から大気へのCO2ガス放散量の長期測定を実施し、自然土壌CO2放散量の変化予測を実施することを目的としている。気温、降雨などの気象条件、土壌温度、水分および有機炭素などの環境条件との関係式を構築し、この関係式から約1℃の表層土壌温度の上昇に対する土壌CO2ガスフラックの増加量を推算し、温暖化に伴うフィードバック効果を検証することを目的としている。また、温暖化対策として推進されるCO2地中貯留実施の実施地域の安全・安心を担保する上で地表CO2ガスフラックス・モニタリングが必要であり、構築する関係式がCO2貯留層からのCO2漏えい判定に関わる自然ベースラインの確立においても重要な指針となる。 2020年度においては、CO2ガスフラックス・モニタリングおよびデータ転送・収録システムの構築を行い、主として九州大学内の試験フィールドにおいて約3か月の長期モニタリングを実施し、土壌CO2ガスフラックス(放散量)と土壌環境の測定データを収録した。また、九州大学伊都キャンパス近傍の気象データ観測網にアクセスし、気象データとの関連性を分析した。九州大学キャンパス内の試験フィールドでサンプリングした土壌を実験室において分析し、表層土壌成分とくに有機炭素成分を含めて土壌CO2フラックスとの関連性を検討した。とくに、CO2地中貯留の漏えい検知において重要な最大土壌CO2フラックスと温度・水分飽和度および有機炭素成分をパラメータとしたモデル式の提示を行った。ただし、海外渡航の制約があったことから、当初計画にあったインドネシアと中国へのガスモニターの設置と試験は翌年度以降に延期し、主として九州大学における試験フィールドを対象としたてモニタリングを主とした研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度においては、海外渡航の制約があったことから、当初計画にあったインドネシアと中国へのガスモニターの設置と試験は翌年度以降に延期し、主として九州大学の試験フィールドにおけるモニタリングを主とした研究として実施した。とくに、CO2ガスフラックス・モニターを高気密CO2チャンバー制御装置とCO2ガスセンサーから構成し、データ転送・収録システムを含めた測定システムの構築を行い、主として九州大学内の試験フィールドにおいて約3か月の長期モニタリングによって、土壌CO2ガスフラックス(放散量)と土壌環境の測定データを収録することができた。また、CO2地中貯留の漏えい検知において重要な最大土壌CO2フラックスと土壌温度・水飽和度および有機炭素分をパラメータとしたモデル式を構築し、海外ジャーナルに論文を掲載した。 なお、Webによるオンライン会議の開催や学会への参加を実施したため、計画した国内旅費および国際旅費は、国内でのフィールド測定に必要な物品費に振り替えを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の2020年度においては、海外渡航の制限があり、海外フィールドでのモニタリングに課題を残したことから、今後の研究方針として、海外渡航の制限が緩和された時点において、以下の項目を推進できるように、海外研究協力者との連携を進める。 1)気候条件が異なるインドネシア・ジョグジャカルタ(熱帯)および中国・遼寧省北部(亜寒帯)において土壌CO2ガスフラックスの長期測定を実施する。同時に、測定フィールドにおける土壌成分、土壌ガスおよび微生物の分析を実施する。これらの測定と分析は、従来から共同研究を実施しているガジャマダ大学・Ferian Anggara准教授、遼寧工程技術大学・張曉明教授の協力を得て実施する。 2)インドネシアと中国におけるフィールドの土壌とCO2ガスを分析する。 3)九州大学で測定したデータと気象データ(気温、降雨量、風速、気圧など)との相関を分析し、土壌温度と土壌水分を主とした関係式の構築を開始する。 4)熱帯気候のインドネシア・ジャワ島と亜寒帯の中国・遼寧省での測定データと気象データのとりまとめを行い、九州大学での測定値を含めて気候・気象データとの相関性について分析し、九州大学でのデータ分析結果との共通性を検討し、より汎用的に適用可能な土壌CO2ガスフラックスのモデル式の構築を行う。
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Research Products
(8 results)