2023 Fiscal Year Annual Research Report
Imaging of interaction frontier orbitals by electron momentum spectroscopy of atomic and molecular clusters
Project/Area Number |
20H02688
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 優一 東京工業大学, 理学院, 准教授 (00533465)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分子軌道 / 波動関数 / クラスター / 電子分光 / 物理化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原子・分子集合体の価電子波動関数形状、ないしは価電子軌道分布を直接観測するための新しい分光法を実現することである。この目的のため、孤立分子の分子軌道形状を運動量空間で観測する電子運動量分光を、原子・分子クラスターをも対象とする「分子間相互作用系の電子運動量分光」へと質的展開し、相互作用フロンティア軌道の電子運動量密度分布を観測する手法として開発・確立する。これにより、非共有結合性結合や、分子間電子移動、クラスターの反応性に関わる電子分布を可視化し、分子間力の起源の解明に対して従来とは異なる根本的視点からの研究を可能とする「分子間相互作用軌道イメージング」の開拓を試みる。 令和5年度は令和4年度に立ち上げた高感度電子運動量分光装置の評価実験を行い、内殻イオン化過程や分子内水素結合系への応用を試みた。Neを用いたベンチマーク実験の結果、開発した装置が電子運動量分光装置としての所期の性能を示すことを確認したのみならず、同型の既存装置と比べて検出効率が桁違いに向上したことが分かった。さらに、新規設計した減速電子レンズを用いることで、イオン化エネルギーの分解能を2.8 eVから1.2 eVへと大きく改善することに成功した。これらの成果を受けて、外殻軌道と比べて桁違いに断面積の小さな内殻軌道(Ar 2s, 2p軌道、CF4のC1s軌道、およびXe 4d軌道など)を対象とした電子運動量分光実験を行い、イオン化断面積の運動量依存性を高精度かつ広い運動量範囲にわたって明らかにした。 上記と並行して高強度フェムト秒レーザーを用いた光電子・光イオン同時計測画像観測装置を用いて、ギ酸クラスターの光イオン化ダイナミクスの研究も進めた。その結果、ギ酸二量体においてエネルギーが極めて低い光電子が放出されていることを示唆する結果を得ており、分子間相互作用と光イオン化ダイナミクスの相関について、その解明を引き続き進めている。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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