2020 Fiscal Year Annual Research Report
固液界面機能と脂質二重膜を用いた人工生体膜反応場の構築
Project/Area Number |
20H02690
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
手老 龍吾 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40390679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸澤 譲 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90363267)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脂質二重膜 / イオンチャネル / 原子間力顕微鏡 / 無細胞合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質二重膜と膜タンパク質が構成する分子集合体は、細胞膜を通しての細胞内外の情報伝達・物資輸送を担っている。本研究では、膜内分子集合体を人工脂質二重膜系と無細胞タンパク質合成系を用いて組み立て、その働く機構を明らかにすることを目的とする。hERGチャネルを対象として、支持脂質二重膜(SLB)への再構成と分子像観察、無細胞合成系での4量体形成、活性構造と薬剤応答の観察の3つの課題に取り組む。2020年度は膜タンパク質再構成に関わる脂質膜内ドメインの形成機構および無細胞合成の条件検討に取り組んだ。 SLBとhERGチャネルの構造観察および物性計測には原子間力顕微鏡および蛍光顕微鏡を用いる。これまでにチャネル電流計測やプロテオリポソーム(PL)融合に実績のあるフォスファチジルコリン(PC)、フォスファチジルエタノールアミン(PE)およびコレステロール(Chol)からなるSLB内には、膜融合サイトとして働く微小脂質ドメインが形成される。人工脂質二重膜系への膜タンパク質再構成においてPLの融合過程はボトルネックとなっている。また、固-液相分離する2種類の脂質の混合二分子膜にCholを添加することで液-液相分離に変化する現象は良く知られているが、いずれも流動相にあり完全混合する脂質からなる二分子膜においてCholにより液-液相分離が誘起されることは脂質膜研究分野における新しい現象である。PEの種類と組成を変えたPC+PE+Chol-SLBを作成してその膜内ドメイン面積率を調べることで、多価不飽和アシル鎖を持つPEが凝集してドメイン形成が進行し、アシル鎖内の二重結合の数と部位に強く依存していることを明らかにした。 hERGチャネルの発現は従来通りコムギ胚芽抽出物を用いた無細胞合成で行うが、4量体形成の効率を向上するために用いる脂質の種類も含めて発現と精製の条件を再度検討し直した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に記述した2つの実験課題について、上述の通り順調に研究成果を挙げることができている。学会等における成果発表および論文発表も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度以降はSLB内に再構成したhERGチャネルの原子間力顕微鏡観察を行い、その会合状態の観察を行う。2020年度に新たに設定した無細胞合成条件での会合状態を調べ、最適化する。無細胞合成の条件検討およびコシャペロンの共合成を行い、AFMによる分子像観察の結果から得られる会合体の存在比をフィードバックして、PL合成の反応条件を最適化する。SLB形成やPL融合の効率は、PLに含まれる脂質およびタンパク質の種類と組成によって変化するので、脂質組成の異なるPLおよびhERGチャネルの発現量やコシャペロン存在比に応じてSLB形成とPL融合の条件を最適化する。膜タンパク質を含むSLBの作製においては、PLからSLBへの再構成過程に依存して膜タンパク質の配向が変化すると考えられる。無細胞合成hERGチャネルの単量体および4量体について、細胞外側・内側の膜外領域の大きさから分子配向を評価し、その制御が可能かを検討する。
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Research Products
(10 results)