2020 Fiscal Year Annual Research Report
平面性イオン種を用いた集積体の革新的設計指針に基づく新奇機能開拓
Project/Area Number |
20H02692
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 修一 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (80433291)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分子集積体 / 刺激応答性 / 開殻分子 / 発光分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、磁性や伝導性、色調、発光色などの物性を微小な外部刺激で劇的に変化させる柔軟イオン性分子集積体による動的機能の開拓を推進する。具体的な研究方針として、イオン性開殻分子による柔軟集積体、および柔軟性をもつイオン性平面金属錯体、の創製と構造制御を検討する 。目的とするイオン性集積体の合理的な設計指針を探求すると同時に、実際に外部刺激(温度、磁場、電場、機械的刺激)に対して誘発される物 性の変化(形状や状態、色、磁性、電気伝導性、誘電性)を観測し、新機能・新現象を探求している。 本年度は以下に示す研究を遂行した。 (1) 液状化可能なジヒドロフェナジンを利用する近赤外吸収特性スイッチング:研究者独自の手法で調製した液状化可能なイオン性開殻種であるジヒドロフェナジンラジカルカチオン誘導体が温度幅の広い固液相転移を有することを利用し、近赤外吸収特性に履歴現象を付与することに成功した。この現象はこれまでに報告例がなく、イオン性開殻種を用いた新しい領域の発展が見込まれる。現在では、置換基を変換することで機能性の向上を検討している。 (2) 単結晶状態を保ったまま刺激に対して双方向性の相転移を示すイオン性平面白金錯体塩の合成に成功した。得られた白金錯体は熱により相転移後、溶媒蒸気に暴露することで元の結晶系に相転移する。この現象は繰り返し起こることがわかっている。また、それぞれの状態において発光特性も変化することも明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特異な相転移挙動を示すイオン性開殻種および平面性金属錯体の創製法を確立しつつある。また、それらは予測通りの構造柔軟性を示すことから、当初の研究発展の方向性がある程度正しいということが示唆された。本年度で理解された設計指針、および測定手法を展開する体制が順調に築かれつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで安定性の観点からカチオン性のイオン化学種に特化した研究を進めている。それらをさらに展開するとともに、アニオン性のイオン化学種にも目を向け、それらを用いた柔軟性集積体の構築を検討する。両イオン性化学種を検討することで応用拡大が見込まれ、様々な組み合わせによる機能展開が見込まれる。
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Research Products
(14 results)