2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular-level understanding of polymer-based adhesive interface by chemical-state mapping using soft X-rays
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20H02702
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山根 宏之 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 研究員 (50402459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 接着界面 / 軟X線分光 / 軟X線顕微鏡 / プラズマ処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
接着接合において被着体が難接着性の場合、被着体の表面改質を行うことで、接着剤に対する被着体表面の濡れ性や化学反応性を改善する必要がある。代表的な表面改質法としてプラズマ処理がよく使われている。プラズマ処理を行うことで、処理面にはCOOH基やOH基などの親水性官能基が導入される。これが水素結合や共有結合などの接着メカニズムに寄与すると理解されている。この他にも、プラズマ処理によって処理面に生じた表面凹凸が機械結合に関与することが報告されている。 分子レベルでの接着メカニズムに関する研究は、被着材と接着剤それぞれの化学状態分析を行い、その知見を基にして接着メカニズムの考察が進められてきた。2020年度の研究では、集光軟X線ビームを用いて接着接合部の顕微軟X線分光観察を行い、プラズマ処理接着界面の接着メカニズムを明らかにした。 本研究では、被着体には炭素繊維複合材のマトリックスとして知られるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用い、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DGEBA-DDS)接着剤との接着界面の化学状態を軟X線顕微鏡で観察した。接着界面の構成元素に対してマルチチャンネル元素イメージングを行った結果、界面破壊と母材破壊という異なる接着破壊モードの可視化に成功した。さらに、界面領域の局所軟X線吸収スペクトル測定を行うことで、接着剤-被着体間の共有結合の形成に由来するスペクトルピークを観測することに成功した。 以上の成果は現在学術雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
接着界面の軟X線イメージングに着手しており、接着界面での化学状態の検出に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
モデル化された接着界面については軟X線顕微鏡を用いることで界面の化学状態を可視化することに成功した。今後は実際の産業界で課題となっている実用接着界面を対象とした研究を推進する。具体的には炭素繊維複合材と工業用接着剤との界面の軟X線イメージング実験を行う。
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