2021 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular-level understanding of polymer-based adhesive interface by chemical-state mapping using soft X-rays
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20H02702
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山根 宏之 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 客員研究員 (50402459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 接着 / 界面 / 軟X線顕微鏡 / 化学イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
航空機・自動車産業では機体・車体の軽量化が低環境負荷の観点から進められており、その材料には炭素繊維複合材が用いられている。軽量かつ高強度という炭素繊維複合材の機能を活かしきる組み立て技術として接着接合が期待されている。しかしながら、接着強度に直結する分子レベルでの接着メカニズムは明らかになっておらず、接着技術やプロセス管理の信頼性が不足しているという問題がある。このため、炭素繊維複合材の組み立てには接着接合に加え、必ずしも理想的とは言えないボルト締結が併用されている状況にある。 炭素繊維複合材料の接着界面の化学状態分布を可視化できれば、オール接着接合の社会実装に向けた化学状態の制御指針が得られる可能性がある。これまでの研究により、接着界面の軟X線イメージング技術を確立することができた。この知見を基に、2021年度は航空機産業で実際に用いられる炭素繊維複合材と接着剤の接合界面試料を作製し、その軟X線イメージング実験を行った。 炭素繊維複合材の接着界面の構成元素に対してマルチチャンネル元素イメージングを行った結果、炭素繊維とマトリックス樹脂およびマトリックス樹脂と接着剤の界面で接着接合に寄与すると解釈できる化学状態分布の可視化に成功した。炭素繊維は一般に疎水性であり、マトリックス樹脂に含浸させるには炭素繊維表面を親水性に変換する表面処理が必要である。本研究では炭素繊維表面での酸素含有官能基の存在を示す化学状態分布を観測した。また、炭素繊維マトリックスと接着剤の界面では、共有結合の形成による化学状態変化に起因する軟X線イメージコントラストを観測した。 以上の成果は現在学術雑誌に投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の主目的である炭素繊維複合材の接着接合界面の軟X線イメージングに着手しており、接着界面での化学結合分布を示唆するデータの取得に成功している。これらの知見を2022年度の研究につなげる。
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Strategy for Future Research Activity |
炭素繊維複合材の接着接合界面について、複合材と接着剤の界面での化学結合分布として解釈できる軟X線イメージを取得することに成功した。一般的な炭素繊維複合材は炭素繊維を含浸させた熱硬化性マトリックス高分子で構成され、その接着剤も熱硬化性高分子で構成される。炭素繊維複合材の接着接合には、接合時の加熱処理条件が重要な制御因子として考えられる。今後は異なる接着パラメーター(加熱処理条件)で作製した接着界面の軟X線イメージングを行い、化学結合分布と接着強度の相関研究に展開する。
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