2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H02705
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐藤 弘志 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, ユニットリーダー (20598586)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カテナン / 多孔性結晶 / 金属ー有機構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
カテナン構造を有する複数種類の有機配位子の合成ならびにそれら配位子と金属イオンを用いた金属ー有機構造体の合成に取り組んだ。結晶試料作成に成功し、単結晶構造解析によってその構造を明らかにした。例えば、コバルトイオンと4つのカルボン酸ユニットを導入した[2]カテナンを有機溶媒中で加熱し、錯形成反応を行なったところ、緑色の柱状結晶が得られた。この結晶では、[2]カテナンがカルボキシレートとコバルトイオンの配位結合を介して3次元的に配列していた。[2]カテナンを3次元的に配列させた結晶はこれが世界初の例である。また、結晶重量の90%以上をカテナンユニットが占める。[2]カテナンを構成するマクロサイクルひとつに着目すると、マクロサイクル上のカルボキシレートととコバルトイオンがパドルホイール型二核錯体を形成することで1次元鎖状構造を形成、その鎖状構造と直行する方向に同様の1次元鎖状構造が形成され、それら2本の鎖状構造は交点において機械的な絡まり、すなわちトポロジカル結合を形成していることが明らかとなった。結果として得られる3次元構造体は、直径およそ0.6ナノメートルのチャネルを有していることがわかった。細孔内部には合成に用いた有機溶媒分子が取り込まれているが、加熱乾燥などの方法で容易に溶媒分子を取り除くことが可能であった。さらに、温度変化やゲスト交換に伴って結晶構造、細孔構造が次々と変化することを見出した。また、乾燥試料に対して二酸化炭素吸着測定を行ったところ、ヒステリシスを伴う吸脱着が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トポロジカル結合の3次元配列による多孔性結晶合成に成功しただけでなく、興味深い機能発現が認められたため。
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Strategy for Future Research Activity |
合成に成功した多孔性結晶の機械特性を引き続き調査するとともに、構造の異なるトポロジカル結合を用いた材料合成ならびに機械特性評価を行う。これらの実験を通じて、革新的多孔性結晶の創製・学理の構築を目指す。
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Research Products
(2 results)