2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H02705
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐藤 弘志 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, ユニットリーダー (20598586)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 多孔性材料 / 結晶 / トポロジカル結合 / カテナン / 力学特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、カテナン構造を有する複数種類の有機配位子の合成ならびにそれら配位子と金属イオンを用いた金属ー有機構造体の合成に取り組み、結晶試料作成に成功した。基本的な結晶構造解析や細孔機能についての評価を行ったのち、ほとんどがカテナンからなる多孔性結晶の特異性を明らかにする目的で種々の実験に取り組んだ。下記にその具体的な結果を記す。 (1)多孔性結晶の機械的特性評価:単結晶試料に適用可能な力学特性評価法としてナノインデンテーション法を採用した。基板表面に固定した結晶試料を、多孔性結晶にゲストとして取り込まれる溶媒中に沈めた状態でヤング率を評価したところ、類似の化合物群として破格に小さな値が得られた(約1.8 GPa)。さらに特筆すべき点は、除荷後に試料表面の観察を行ったところ、通常のインデンテーション測定で観測される圧痕がまったく見られなかった点である。これは機械的な圧力に対してこのカテナンからなる多孔性結晶が可逆的な構造変化を示すことを反映している。一方、細孔からゲスト分子が失われた状態の多孔性結晶を空気中で評価すると、大きなヤング率が観測された(約6 GPa)。多孔性結晶が環境に応じて機械的特性を変える大変興味深い現象である。 (2)高圧下での多孔性結晶の振る舞い:カテナンからなる多孔性結晶が静水圧に対してどのような振る舞いを示すか、ダイヤモンドアンビルセルを用いて検討した。ダイヤモンドアンビルセル中に、DMFとともに封入した多孔性結晶に対して圧力を加えながら、結晶回折実験を行った。得られた回折データから高圧下での結晶構造解析を行うことに成功した。たとえば約0.5 GPaの圧力下での結晶構造を常圧下での結晶構造と比較したところ、カテナンにおけるマクロサイクルの相対位置が確かに変化していることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トポロジカル結合の3次元配列によって形成した多孔性結晶の興味深い力学機能を明らかにできたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
合成に成功した多孔性結晶の機械特性を引き続き調査するとともに、構造の異なるトポロジカル結合を用いた材料合成ならびに機械特性評価を行う。これらの実験を通じて、革新的多孔性結晶の創製・学理の構築を目指す。
|
Research Products
(10 results)
-
[Journal Article] Tuning the donor-acceptor interactions in phase-segregated block molecules2021
Author(s)
Brigitte A. G. Lamers, Martin H. C. van Son, Freek V. de Graaf, Bart W. L. van den Bersselaar, Bas F. M. de Waal, Kazuki Komatsu, Hiroshi Sato, Takuzo Aida, Jose Augusto Berrocal, Anja R. A. Palmans, Ghislaine Vantomme, Stefan C. J. Meskersg, E. W. Meijer
-
Journal Title
MATERIALS HORIZONS
Volume: 9
Pages: 294-302
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-