2020 Fiscal Year Annual Research Report
スピロビフルオレンの連結に基づく新奇3次元π共役系分子の創成
Project/Area Number |
20H02724
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
雨夜 徹 名古屋市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (20397615)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スピロビフルオレン / スピロ共役 / キロプティカル特性 / 二重らせん / 織り構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ユニーク且つ未踏のジオメトリーを有するπ共役系化合物群をスピロビフルオレンの連結を基軸とし創成するとともに、得られた3次元構造体のキロプティカル特性や空間的な軌道相互作用に基づく3次元的な共役を明らかにすることを目指し検討を重ねている。今年度は、パラオリゴフェニル二重らせんや織り構造モチーフを有するキラルパラオリゴフェニル化合物を標的とした検討を行った。二重らせん構造を構築するためには、キラリティーのそろったスピロビフルオレンを連結していく必要がある。そのため、同一キラリティーを持つスピロビフルオレン化合物の白金錯体を経由する環化反応を検討した。その結果、目的の二重らせん型化合物が得られ、その構造を単結晶X線結晶構造解析により明らかにすることができた。織り構造モチーフを有するキラルパラオリゴフェニル化合物を標的とする検討としては、まず、織り構造モチーフの単位ユニット構造を表現するスピロビフルオレンマクロサイクルの合成を行った。キラルなスピロビフルオレン化合物を山本カップリングにより連結して、環化3,4、5量体をそれぞれ合成、単離した。それぞれの構造は単結晶X線結晶構造解析により明らかにした。また、キロプティカル特性を円二色性スペクトルおよび円偏光発光スペクトル測定により明らかにした。また、スピロ共役について、吸収スペクトルにより見積もるとともに、DFT計算により定量的に考察した。その結果、このようなスピロ構造を複数個含む対称性のマクロサイクルにおいては、スピロ共役の仕方に、環員数に対する偶奇性が現れることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、パラオリゴフェニル二重らせんや織り構造モチーフを有するキラルパラオリゴフェニル化合物を標的とする合成研究を展開した。目的の二重らせん化合物の合成や織り構造モチーフの単位ユニット構造を表現する化合物の合成を達成するとともに、その構造および分光学的な物性、さらにはスピロ共役などの3次元的な共役も明らかにできたため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、今回得られた知見を活かし、より長いπ共役系分子の二重らせん構造体を合成するとともに、その構造や物性等を明らかにする。また、織り構造モチーフを有する有機構造体の構築および、その構造や物性等を明らかにする。ユニーク且つ未踏のジオメトリーを有するπ共役系化合物群をスピロビフルオレンの連結を基軸とし創成するとともに、得られた3次元構造体のキロプティカル特性や空間的な軌道相互作用に基づく3次元的な共役を明らかにすべく研究を展開する。
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Research Products
(4 results)