2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H02726
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
酒巻 大輔 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60722741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 秀紀 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70290898)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動的共有結合 / 有機ラジカル / 芳香族アミン / フェロセン / 電子ドナー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、動的共有結合性ラジカルに配位結合能の付与することを目的とし、配位点としてピリジル基を有する新規ジシアノメチルラジカル1・を合成した。ラジカル1・は、3-bromopyridineを出発材料として4ステップで合成した。X線構造解析により、1・は固体中ではC-C単結合で連結された二量体1_2として存在していることが明らかになった。電子スピン共鳴スペクトルの温度依存性から平衡定数を算出し、van’t Hoff plotを行うことで、このラジカルの結合生成―開裂に伴う熱力学的パラメータ(結合開裂エンタルピーおよびエントロピー)をそれぞれ57.6 kJ mol-1, 63.8 J K-1 mol-1と算出することに成功した。1_2このラジカルの二量体はPdCl2(PhCN)2と混合することで大環状錯体(1_2)2(PdCl2)2を定量的に形成した。単結晶X線構造解析により、(1_2)2(PdCl2)2は8の字型に捻れた環状構造を有することを明らかにした。大環状錯体の内部空間は、錯体自身のシアノ基とCl原子で満たされていた。ジシアノメチル基間のC-C結合長は1.62(1)オングストロームであり、通常のC(sp3)-C(sp3)結合(1.54オングストローム)より大きく伸長していた。この錯体は1_2と同様に、加熱や力学的刺激によってC-C結合が開裂してラジカルを生成することを明らかにした。この錯体のクロロベンゼン溶液にパラジウムと強く結合する配位子であるxantphosを徐々に添加したところ、700 nm付近のラジカル吸収帯の段階的な増大が見られた。これはxantphosとの配位子交換により、(1_2)2(PdCl2)2から1_2が遊離したことを意味しており、1_2の動的共有結合と錯形成反応は直交して働くことが示された。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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