2021 Fiscal Year Annual Research Report
Transfer (de)hydration for organic synthesis
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20H02736
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中 寛史 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70431517)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脱水反応 / 水移動型反応 / ニトリル / アミド / イリジウム / 触媒 / パラジウム |
Outline of Annual Research Achievements |
イリジウム錯体触媒とジクロロアセトニトリルを用いた第一級アミドの水移動型脱水反応を開発した。ニトリルを求電子的に活性化する触媒としてイリジウム錯体に着目し、メシチルカルボキシレート配位子を有するペンタメチルシクロペンタジエニル (Cp*) イリジウム錯体を合成し、その構造をX線構造解析等により決定した。この錯体は、ジクロロアセトニトリルと水の混合溶媒中、室温付近の温和な反応条件で、第一級アミドの水移動型脱水反応を促進した。この反応は脂肪族および芳香族アミドを効率的に脱水し、対応するニトリル体へと変換した。また本反応はアミノ酸由来のアミドの脱水に対しても適用可能であった。さらに、以前報告されたパラジウム触媒系とは異なり、このイリジウム触媒はカルボキシ基やスルフィドなどの配位性官能基を有するアミド基質に対しても有効に作用することがわかった。 加えて種々の反応機構解析実験を行った。標識実験において、重酸素で標識したアミド基質を脱水したところ、副生成物として重酸素を有するジクロロアセトアミドが得られた。このことから、本反応ではアミド基質のカルボニル酸素がジクロロアセトニトリルに移動していることがわかった。ReactIRを用いた反応追跡実験によって、アミド基質、ジクロロアセトニトリルおよびイリジウム錯体の反応次数がそれぞれ一次であることがわかった。このことから、単核イリジウム錯体上に配位したニトリルに対するアミドの付加を経る機構で反応が進行することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたイリジウム触媒によるアミドの脱水反応の開発を概ね完了させることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
イリジウム触媒によるアミドの脱水に加え、パラジウム触媒によるアミノニトリルの水和とルテニウム錯体によるアミドの脱水を論文化する。次年度は主にプラチナ錯体によるニトリルの水和に焦点をあてる。
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