2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Quantum Control of Iron-Catalyzed Cross-Coupling Reactions
Project/Area Number |
20H02740
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 正治 京都大学, 化学研究所, 教授 (00282723)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鉄触媒 / 選択的合成 / クロスカップリング反応 / カルボメタル化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではスピン多重度の異なるポテンシャルエネルギー表面間での遷移=系間交差を利用した反応の促進,ならびに,基質分子間および配位子との間に生じる London分散力を活用することで,合成化学的な魅力に富む高選択的鉄触媒クロスカップリング反応を開発する。・不斉クロスカップ リング反応,・ジアステレオ 選択的クロスカップリング反応などを開発し,これらに対する・反応機構研究に基づく量子効果の検証を行い,反応経路に対する系 間交差と分散力の影響を理論 的に明らかにする。これまでに,種々の配位子の合成とカップリング反応への応用から研究 を行って来た。モデル系に対する大規模DFT計算と反応経路解析を並 行し,スピン状態毎の全反応経路のポテンシャルエネルギー表面(PES)を求めることで反応 機構の解明をおこない,報告した。(Sharma, et al., Molecules 2020,25,3612). 実験では,同不斉配位子による有機亜鉛化合物のアザビシクロアルケンへの付 加反応の検討を進め,エナンチオおよびジアステレオ選択的なカ ルボメタル化反応の開発に成功した。同反応の反応活性種体の溶液構造を放射光XAS法で求め,計 算結果と照らし合わせることで,本反応系ではクロスカップリ ング反応系と異なり鉄触媒の酸化還元は起こらずFe(II)中間体を嗅ぎ反応活性主として進むことが 明らかとなった。この結果は速報として発表した。(Adak et al., Chem. Commun., 2021, 57, 6975-6978)大規模DFT計算を行い,反応機構における量子効果の影響を考察した(投稿論文作成中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍などによって予定していた研究員雇用が送れるなどの予想外の事案があったが,未使用研究費の繰り越しなどを活用することで全体的に計画通り研究を進める事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄触媒不斉カルボメタル化反応という新たな合成反応を開発することができ,同反応における量子効果,特に,London分散力による低スピン状態のコンパクトな繊維構造の安定化と選択性の発現を見出だすことが出来た。同知見を活かしクロスカップリング型の炭素ー炭素結合生成反応の開発への展開を行い,研究コンセプトの普遍性を示すと同時に,合成化学的な魅力に溢れる反応を創出したい。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Iron-catalysed enantioselective carbometalation of azabicycloalkenes2021
Author(s)
Adak, L.; Jin, M.; Saito, S.; Kawabata, T.; Itoh, T.; Ito, S.; Sharma, A. K.; Gower, N. J.; Cogswell, P.; Geldsetzer, J.; Takaya, H.; Isozaki, K*; and Nakamura, M.*
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Journal Title
Chem. Commun.
Volume: 57
Pages: 6975-6978
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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