2020 Fiscal Year Annual Research Report
脱水素クロスカップリングを利用した機能性配向基の開発とそのペプチド合成への応用
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20H02745
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
佐藤 哲也 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (40273586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼杵 克之助 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30244651)
品田 哲郎 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (30271513)
姜 法雄 神戸大学, 農学研究科, 助教 (70824465)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 直接カップリング / ロジウム触媒 / C-H活性化 / アシルカルバゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでに我々のグループが開発したシクロペンタジエニルロジウムなどの遷移金属錯体触媒を用いる脱水素カップリングを、より温和な条件でも行えるよう改良し、医農薬や天然物などの複雑な構造を有する有用化合物の合成への適用を目的としており、本課題初年度に当たる2020年度には、導入および除去の容易な機能性配向基の開発ならびにこれを利用した芳香族炭素ー水素結合の直接誘導体化について検討を行った。 導入および除去の容易な機能性配向基の開発 まず、機能性配向基としてカルバゾリルカルボニル基に注目した。種々のカルボン酸に対し、酸無水物存在下でN-Hカルバゾールを反応させると、容易にN-アシルカルバゾールへと変換できる。すなわち、有機分子中に普遍に存在するカルボキシ基にカルバゾリルカルボニル基が円滑に導入できることを確認した。通常、アミド結合は強固であり、切断は困難とされるが、N-アシルカルバゾール中のアミド結合は、カルバゾリル基の立体的要因により活性化されており、種々求核剤存在下、比較的穏和な条件で求核置換により切断されることが明らかになった。 カルバゾリルカルボニル基を配向基とする炭素ー水素結合直接誘導体化 次に、上述のカルバゾリルカルボニル基を配向基として利用し、近傍の炭素ー水素結合を直接誘導体化する手法の開発について検討を行なった。その結果、我々の開発したペンタメチルシクロペンタジエニルロジウム/銀触媒系を用いてN-ベンゾイルカルバゾールをアルキンとともに反応させると、ベンゾイル部位のオルト位で位置選択的に炭素ー水素結合が切断され、インデノン誘導体が生成することを見出した。この反応では、目的生成物であるインデノンとともに、N-Hカルバゾールも回収される。回収されたN-HカルバゾールはN-ベンゾイルカルバゾールの調製にリサイクル利用可能であり、魅力的な配向基と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにカルバゾリルカルボニル基が容易に導入および除去可能な配向基として利用できることを示した。さらにこの配向基を利用した炭素ー水素結合誘導体化法の開発に成功し、その中で、この配向基がリサイクル利用可能であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに多様な機能性配向基探索を行う。これらを利用した炭素ー水素結合直接誘導体化手法を開発し、ペプチドをはじめとする有用分子の高効率合成について検討する。
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