2021 Fiscal Year Annual Research Report
Strategic Molecular Design Aiming at Streamlined Chemical Transformations
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20H02746
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
熊谷 直哉 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (40431887)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アミド化 / 触媒 / キノリン / 非平面芳香族 / 超分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
新奇分子の探求は化学を最も化学たらしめる基礎研究の一源流であり,化学者自身が創造者となりオリジナルの物性・機能探索を縦横に展開するための源泉となる。本研究では,独自の新奇分子デザインおよびその戦略的構築を基盤とし,効率的な触媒的分子変換反応を開拓することを主眼としている。2021年度はDATBの構造展開に大きな進展が見られた。OBNBOアレイに導入する原子として,これまで導入できなかったSi, C2, C3ユニットの導入に成功し,B2NO2Si型6員環,B2C2NI2型7員環,B2C3NO2型8員環といった新規環状分子骨格の形成に至った。これらの新規ヘテロ環はB3NO2型6員環を特徴とするDATBよりも立体化に対する許容性が高く,ホウ素原子がLewis酸性を発揮してテトラヘドラル型になるエネルギー障壁が緩和され,より高い触媒性能を発揮しうると期待される。特に,B2C2NI2型7員環はホモキラルC2ユニットを取り込む事で複核ホウ素キラルLewis酸触媒としての機能発現も期待される。また,新規キノリンオリゴマーの合成にも順調な進展が見られた。キノリンを2,8位で直連結した非平面キノリン4量体TEtraQuinolineは,前年度に確立した合成法によりその機能探索を進め,種々の典型・遷移金属存在下にZnカチオン選択的な特異的配位・蛍光発光特性を示すことを見出した。さらに,酸素挿入型キノリン3量体分子o-TQにおいて,2-フルオロ-8-ヒドロキシキノリンを利用する改良合成法を見出し,大幅な収率改善と高い再現性の獲得に成功した。o-TQは遷移金属カチオン存在下,ピアノスツール型に3座配位を起こし,自身はボウル型に配座固定され強固な金属錯体を形成することを見出した。銅錯体においては優れたAIE特性を示し,黄色蛍光を発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目論見であるデザイン化合物の合成には概ね成功しており,3年計画の2年目としては順調に推移していると考えている。次年度の最終年度においてその機能探索を進め,当初の目的を達成する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,前年度までに合成に成功した化合物群・錯体群の機能発現研究に注力し,材料化学・触媒化学を通してデザイン化合物からの社会発展への還元を目指す。また,予想外の分子構造体も得られていることから,それらの機能探索,ならびに今後の発展的研究のための新たな分子デザインの素地とする。
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Research Products
(14 results)